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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
- 105 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/20(月) 21:38:52.55 ID:KqZ5Idpj0
- 「何の用よ」
素っ気なく賈駆はもはや態度を繕おうともしない。どうあっても、何をしても事態は改善されないのである。目の前の存在に忖度しても自分がすり減るだけである。
「いえね。あまりにも貴女が大変そうでね。正直、色々と回ってないでしょう?
いえね、よくやっているとは思うのよ、本当に。でもね。あまりにお粗末だから心配になってね。
多少なりとも助けてあげようかな、って思ったのよね」
「アンタに助けてもらうくらいならば今ここでアンタを刺すわよ。
どうせボクでは無理だろうから、そろそろ武官でも呼ぼうかなって思ってるくらい」
「怖いわねえ。でもまあ、なんでだか私は嫌われているみたいだから。
だから、貴女の助けになりそうな方を紹介しようと思ってね」
す、と手を上げる。それが合図であったのであろう。人影が姿を現す。
「何だな。この状況だと僕は悪者一直線なんだが……。
もうちょっと話の流れとか、そういうものについて気配りしてほしいなあ」
苦笑しつつ姿を現したのは皇甫嵩。賈駆が取り逃がした漢朝の大物の一人である。
「な、なんで!アンタら、あんたらっ!
そうか、そうか……っ!
最初から、つるんで、たの……ね!」
絞り出すよな賈駆の言葉に、皇甫嵩は困ったような顔を浮かべる。
「そう思われても仕方ないけどね。まあ、経緯は置いておこう。そしてはっきり言おう。
君らの統治は見ていられない。ああ、見ていられない。
だからね、せめて禁軍の面倒くらいは見てあげようというのだよ。
それで大分違うだろう?」
確かにそうだ、その通りだ。禁軍を皇甫嵩が押さえてくれるならば、相当賈駆も楽にはなる。
だが、それでいいのかと思う。それはいけないと思う。この、目前の男は信用してはならないと本能が警告してくる。
だが、それでも賈駆には選択肢はあってなきが如し。李儒が提示した選択肢をどうこうできるわけもない。それでも。
「まあ、思うところはあって当然さ。僕だって思う所あるしね。
ただまあ、それで被害をこうむるのは、か弱い民たちさ。
まあ、ひとまずよろしくね。
ああ、主上にもご挨拶しときたいなあ。頼まれてくれるかな?」
にこやかな皇甫嵩を苦々しげに賈駆は睨む。
だが、確かに、確かに皇甫嵩が禁軍を掌握するにつれて賈駆の負担は減っていったのである。
故に賈駆は皇甫嵩その人の真意は捨て置くことにする。
いや、それを深く考える余裕なぞなかったと言ってもいいであろう。
まさに忙殺、であった。
そして、それより暫し時を置き、時代を動かす人物が再び舞台に姿を現すことになる。
その報を受け、賈駆は項垂(うなだ)れ、皇甫嵩は舌打ちする。そして李儒はほくそ笑むのだ。
その無益さ。
それに気付くにはもう少し時が必要となる。
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