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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
- 109 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/01/21(火) 21:24:36.61 ID:kZuWh2Jg0
- ◆◆◆
郭嘉は其の報を受け、走りだした。
それが真ならば、真ならば。
――郭嘉はそれほど身体能力に恵まれてはいない。いや、劣っていると言ってもいいであろう。
謀士なんぞにはそれほど価値を求められない世の中だ。彼女は大いに苦しんだ。
脳髄の冴えを誇ろうとも、武家に於いては枝葉末節。故に、約束された声望を捨て、流浪したのだ。
遠回りをしたように思う。結局今自分が仕えるのは袁家なのだから。だが、かけがえのない友人に恵まれた。
郭嘉は走る。既に脳髄には必勝の戦略が幾筋も出来上がっている。
だが、その根源を、前提を満たすための材料がまだ足りない。だから郭嘉は走る。脆弱な心肺が悲鳴をあげる。
その悲鳴すら弱々しく、ひゅぅ、と鳴る。それでも郭嘉は棒となった足を前に進める。そして夜明けの一番鶏を合図に開く城門。
そこに立つ青年を見る。
多少薄汚い恰好であっても見失うものか。全く。身を隠すならば得物くらいは取り繕うべきなのだ。
必死に呼吸を収めて、努めて平静に声をかける。
「お早い御着き、とは言えませんね。ともあれ、ご無事でなによりです。
それでは、後ほどに。落ち着いたらご相談と承認を頂きたいことがあります」
踵を返す郭嘉に戸惑ったような声が追いすがる。
「え?稟ちゃん?ちょっとそれ冷たくない?久しぶりの再会なんだし、もうちょっとこう、反応があると思うの。
あれ、稟ちゃん?稟ちゃんさーん?」
フン、と郭嘉は決して振り返らない。
その彼女の脇を弾丸と化した幼女――多分典韋だろう――が通り抜ける。
後方でドゴォ!と微笑ましい音響が響き、やや遅れて駆けてくるのは、もう一人の親友。常山の昇り龍。
「おお、稟よ。主が帰って来たというのは真か?
いや、これまでも幾度もそのような報はあったが。稟が動くということは今度こそは、という奴だな」
この、心根が真っ直ぐな親友になんと言ってやろうかと思うのだが。
「そうですね。どうやら今回は確かだったようです。どうぞ歓迎はお任せしますとも」
きっと、立場的にも、性質的にも、彼の横に立つのは武人であるべきだ。
誰にともなく言い訳しながら郭嘉は歩を進める。自らの責務を果たすべく。
反董卓連合。既に考え付く状況において袁家は最終的に勝利する。
それを郭嘉は確信するのであった。
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