1: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:07:14.56 ID:wEDTEyMZ0
ハッと意識を取り戻すと、俺は両手足を縛られてる状態で布団の上に座っていた。
丁度前屈を始める前みたいに左右の足を放り出して、
その足首がロープみたいな物でガッチリと固定されているのが理解できた。
薄暗い視界の中で身じろぎすれば、後ろ手にされた両手がガチャガチャ冷たい悲鳴を上げる。
手錠だ、とぼんやりした頭でゆっくり理解して行った時、耳元で聞き覚えのある彼女の声が聞こえたんだ。
「お兄ちゃん起きた? 桃子だけど」
それは暗がりの中に突然灯ったハッキリ見える明かりのように。
声のした方へ向いてみれば、そこには見知った少女の顔があった。
周防桃子、俺の担当しているアイドルだ。
「プロデューサーさん、わたしもいるよ?」
それから、今度は反対から。
見ればそっちにも女の子が一人座っていて、
中谷育、彼女も俺が担当している765プロダクションのアイドルだった。
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2: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:09:11.84 ID:wEDTEyMZ0
「……つまり、どういう事だい、これは?」
手足の自由が奪われてる中で、俺は左右を見やって問いただした。
3: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:09:59.27 ID:wEDTEyMZ0
「仮装令嬢……今度のお仕事。寸劇で、桃子たちにヴァンパイアの役をやらせるでしょ?」
「でもね? 桃子ちゃんもわたしも、バンパイアってどんな生き物かよく分からなくって」
4: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:11:20.70 ID:wEDTEyMZ0
「君たちな、自分のやってる事が分かってるか?
こんなやり方しなくたって、練習に付き合って欲しいなら普通に相談してくれれば」
「じゃあ、演技のために首を噛ませてってお願いして、プロデューサーさんは良いよって言ってくれる?」
5: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:12:20.69 ID:wEDTEyMZ0
「ん……、ちょっと届かないや……っと!」
さらには安定性を高める為か、桃子は無防備な俺の腹の上に自らの小さなお尻を乗せて。
スカート生地から伸びる子供らしい丸みのある脚が馬乗りの為左右へ開かれる。
6: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:13:42.03 ID:wEDTEyMZ0
すると桃子は胸飾りを揺らしながら。
「別に桃子が先でも構わないけど、普通、ヴァンパイアって後ろから首を吸わない?」
7: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:14:36.67 ID:wEDTEyMZ0
「……ど、どっちが先でも構わないから、とにかく、早く済ませてくれ!」
とにかく打てる最善手は、彼女たちのやりたいようにやらせる事だと思ったのだ。
8: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:16:22.60 ID:wEDTEyMZ0
「いひゃかったら……ひゅぐにいっへ?」
次にざらざらとした熱が肌膚をなぞる。
9: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:17:42.62 ID:wEDTEyMZ0
「う、ん……。できてる、と思う」
「ほんと?」勢いよく顔を上げたのだろう。
育のちゅぱっとみだりな囀りが、見えない角度から俺の耳に飛び込んで来て。
10: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:18:26.69 ID:wEDTEyMZ0
「ちゅ、…ぷぁっ……。えへへ、プロデューサーさんに噛み痕つけちゃった」
唇を自らの手の甲で擦り、満足気に紡がれた育の声はどこか遠く。
11: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:19:23.30 ID:wEDTEyMZ0
===
「一応聞いておくけど……これでおしまいって事にしてもいいんだぞ?」
しかし、桃子が居住まいを正す間にかけたこの言葉も、
12: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:20:40.39 ID:wEDTEyMZ0
「……ふぅん? 見た目は何だか冴えないわね」
そうして沈黙が破られた時には、彼女は"周防桃子"ではなくなっていて。
13: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:21:57.62 ID:wEDTEyMZ0
「なあ桃子……。今、俺に見せてるのが、桃子のイメージする"妖艶"なのか?」
瞬間、しまったと後悔した時には遅かった。
俺に馬乗りになってた"吸血鬼さま"はみるみるうちに不機嫌になって。
14: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:23:02.16 ID:wEDTEyMZ0
「そうさ! だからもっと自然体の、生意気ないつもの桃子で十分に可愛くなるんだ!」
「誰が!」
15: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:24:05.89 ID:wEDTEyMZ0
「じゃあ、お兄ちゃん、覚悟してよね?」
お互いの鼻と鼻がぶつかりそうな近さでニヤッと笑う。
16: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:25:24.27 ID:wEDTEyMZ0
「ももっ、こが…んちゅっ、……おてほん…ぷぁっ……みせるん、だからぁ……!」
また、空いている側の手を俺の肩へ。
17: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:27:32.49 ID:wEDTEyMZ0
「もっ、もこ…! もっと、優しく……!」
「おにいちゃんを、しもべにっ、するんだからぁ…! ……やさしくなんっ…ちゅっ、いみないへしょ!?」
18: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:28:16.22 ID:wEDTEyMZ0
「ぷはっ! はぁ、はぁっ、……はあ、…あはは……!!」
そうして桃子は誇らしそうに胸を張った。
19: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:29:11.24 ID:wEDTEyMZ0
「なんでかな、吸い過ぎたかな?」
「一応、ちっちゃな痣みたいにはなってるけど……」
20: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:30:10.74 ID:wEDTEyMZ0
「なら育と桃子、一緒にすれば文句ないでしょ? お兄ちゃんに噛みつける場所が一つしかないワケじゃないんだし」
「そうだね! ……じゃあ、わたしはこっち側」
21: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:32:18.74 ID:wEDTEyMZ0
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以上でおしまいどっとはらい。
可愛らしい吸血鬼が手に入るフェスはミリシタで現在絶賛開催中です。
是非是非!チャレンジしてみてください。
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