4: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2019/09/29(日) 01:11:20.70 ID:wEDTEyMZ0
「君たちな、自分のやってる事が分かってるか?
こんなやり方しなくたって、練習に付き合って欲しいなら普通に相談してくれれば」
「じゃあ、演技のために首を噛ませてってお願いして、プロデューサーさんは良いよって言ってくれる?」
「ダメだ! 育たちの吸血鬼はあくまで健全な出し物で――」
「健全って、桃子たちはヴァンパイアらしく"妖艶"な演技を身に着けたいの!」
「だから、それは、まだ早いって――うわぁっ!?」
再び手錠が騒いだ時、そっと柔らかな感触が腕に触れた。
育が俺の背後へと素早く回り、落ち着かせようとその手で手錠を上から押さえたのだ。
……と同時に、俺の前へとやって来た桃子が自慢の髪を揺らしながら。
「ほら! そうやって言い訳すると思ったから……。
今、お兄ちゃんが集中しないといけないのは、桃子たちに噛みつかれた後のリアクションだよ」
言って、彼女は俺を押さえ込むように両手を肩の上に置いた。
ピンと張った二本のか細い腕が、クリーニング仕立ての衣装の良い香りが。
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