1: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:41:13.46 ID:v/g2u2sn0
突然だが、あなたの初恋はいつだろうか。
幼馴染の女の子、近所のお姉さん、席替えで隣の席になった女子、幼いころに読んだ絵本の中の女の子、日曜の朝からやっているアニメの主人公……まあそれぞれの初恋というものがあるだろう。
そして、残念(?)なことに、僕は初恋というものを経験することなく、この年まで生きてきた。
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2: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:42:47.29 ID:v/g2u2sn0
こう言うと結構歳を喰っているように思われるのだろうか。あいにくだが僕はまだ高校生だ。現役バリバリ高校生、決して童貞をこじらせたおっさんではない。高校生の時間間隔とはそういうものなのだ。
しかし僕も思春期真っただ中の健全な男子高校生。人並みに性欲はあるし、異性に対する興味もある。だが積極的に彼女が作りたいだとかそういった願望を持っていたわけではなかったし、男友達とと下世話な話をしているほうが気が楽だったので実際の女性経験というものは皆無だった。俗にいう彼女いない歴イコールなんとやら。
3: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:43:46.91 ID:v/g2u2sn0
まあ、こんな感じで今まで生きてきたので特に積極的に彼女がほしいだとか、かわいい女の子と付き合いたいだとか、そういった欲望には従順ではなかった。というよりもそこまで積極的になる意味がわからなかった。
そんなわけで、僕はいままで初恋、ひいては恋というものを経験したことがなかった。そう、したことが『なかった』。過去形なのだ。
4: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:44:17.05 ID:v/g2u2sn0
☆★☆★☆★☆★
5: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:45:42.05 ID:v/g2u2sn0
「あ、隣だね」
6: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:46:19.17 ID:v/g2u2sn0
……なんだろう、すごくかわいい。
振り向いた先にいたのは髪をポニーテールでまとめた子だった。
一目ぼれ、というのだろうか。微笑んだ彼女を見たときドキッとした。
こちらもなにか返さなければ……!せめてかっこよく見えるように……
7: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:46:47.03 ID:v/g2u2sn0
「しっかりご飯食べてる?もっと食べたほうがいいと思うよ?」
「そ、そう?」
8: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:47:29.41 ID:v/g2u2sn0
僕が佐竹さんに声をかけようとしたその時、廊下から佐竹さんを呼ぶ女子の声がした。
佐竹さんの友だちだろうか。
9: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:47:57.69 ID:v/g2u2sn0
☆★☆★☆★
10: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:48:27.53 ID:v/g2u2sn0
新学期にはいってしばらくが経った。
佐竹さんはあの笑顔と気づかいで、僕以外にもクラスの男子にファンを次々と作っていた。うん、あれは反則だよね。
11: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:48:53.90 ID:v/g2u2sn0
「で、どうするんだ?」
「なにをさ」
12: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:50:20.65 ID:v/g2u2sn0
佐竹飯店。
隣町、といっても学校から自転車を走らせて20分くらいのところにある小さな大衆向けの中華料理店。
13: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:50:47.26 ID:v/g2u2sn0
「ウチのこと知ってくれてたんだ」
「う、うん。友達から聞いて……」
14: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:51:37.61 ID:v/g2u2sn0
「よう坊主、初めてか?」
隣の席から声をかけられた。つるっぱげの人の好さそうなおじさんだった。
15: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:52:05.52 ID:v/g2u2sn0
「それはそうと早く注文選びな。食べに来たんだろ?」
八百屋のオヤジはニヤニヤした顔のまま僕にそう促す。
おっと、そうだった。どれにしようかな。とりあえずチャーハンにするか。
16: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:52:44.77 ID:v/g2u2sn0
「それは来てからのお楽しみだ。ま、坊主くらい若けりゃ楽勝か」
そいういっておじさんはカッカッカっと笑い飛ばした。なにか嫌な予感がする。
そういえば、僕以外の佐竹さんのファンも当然ここのことは知っているはずだ。おじさんも言っていたけど僕と同じ考えをもってここに来るやつは他にもいるだろう。
17: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:53:13.38 ID:v/g2u2sn0
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18: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:53:39.37 ID:v/g2u2sn0
「味は信用していいぜ。俺が直々に野菜卸してる店だからよ。いい野菜はいい店にしか卸さねえ。俺のポリシーだ。初めてここの店主がが俺の店に来たときは……ってそれは関係なかったな。それはそうと、坊主。学校では佐竹ちゃんとはどうなんだ?」
「え、えーっと佐竹さんとは隣の席同士で……まだ全然話せてないですけど……」
19: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:54:10.01 ID:v/g2u2sn0
「あの笑顔が見れるだけでここに来る価値があるってもんだ」
そう言って佐竹さんを見る八百屋のおじさんの目は優しい目立った。
20: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:54:36.11 ID:v/g2u2sn0
「じゃあまた来るぜ、佐竹ちゃん」
「はーい!いつでも来てくださいね♪」
21: ◆OtiAGlay2E[sage]
2019/06/24(月) 03:55:32.12 ID:v/g2u2sn0
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