伊織「『百年たってもやよいおり』? ……何よこれ」
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1:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 21:58:58.16 ID:JKum/CnfO

「……お客様、お客様?」

うっすらと耳に入ってくる控えめな呼びかけが自分に対してのものだと理解するには、少し時間がかかった。

重い瞼を開けると、制服姿の女性が自分を覗き込むようにこちらを見ていた。

ああそうか、いつの間にか寝てしまっていたんだ。

「当機は無事、日本に到着いたしました。もしどこかお体が優れないようでしたら……」

「ううん、大丈夫よ。ありがとう」

少し心配そうなキャビンアテンダントに笑顔でお礼を言い、彼女はあくびを噛み殺しながら荷物をまとめはじめる。



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2:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 22:05:51.93 ID:JKum/CnfO

飛行機を降りて、検疫、入国審査を抜けて手荷物を受け取って。

最後に税関検査を受けたら面倒な手続きは全て終わりだ。

以下略 AAS



3:名無しNIPPER
2018/03/25(日) 22:07:19.15 ID:JKum/CnfO

さて、まずはどうしようか。どこかで少し暇を潰そうか。

思案しながら視線を向けた先に、空港の施設案内板が見えた。

以下略 AAS



4:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 22:12:41.62 ID:JKum/CnfO

彼女ーー水瀬伊織が日本の地を踏むのは、実に数年ぶりのことになる。

しかし、伊織にはあまり懐かしいという実感がない。

以下略 AAS



5:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 22:14:39.83 ID:JKum/CnfO

伊織が店内に足を踏み入れると、既に席に着いて食事をしていた男性客何人かの視線を一度に集めることになった。

女性一人で定食屋、というのが物珍しかっただけかもしれないし、昔よりさらに美しく成長した彼女の容姿に目を奪われてしまったのかもしれない。

以下略 AAS



6:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 22:17:36.70 ID:JKum/CnfO

案内されたのは注文どおり窓際の席。

窓からは滑走路が見え、丁度飛行機が離陸するところらしく、地響きのような飛行機のエンジン音が聞こえてくる。

以下略 AAS



7:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 22:20:02.57 ID:JKum/CnfO

しかし、仲間たちに会えるとなると今度は何とも言えない罪悪感のようなものが湧き上がってくるのだ。

辛いことも分かち合った仲間たちは皆アイドルの道を走り続け、自分だけが途中で舞台を降りた。

以下略 AAS



8:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 22:21:36.45 ID:JKum/CnfO

「ご注文はお決まりですか?」

相棒と戯れているところへ不意に店員に声を掛けられて、伊織は慌ててメニューを手に取る。

以下略 AAS



9:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 22:23:46.13 ID:JKum/CnfO

やがて彼女の目に留まったのは、ページの一番下にちょこんと記載された、おそらくその店で一番安価な料理。

出で立ちからして本物の気品さを漂わせる今の伊織には似つかわしと思えないその料理が、彼女の琴線に触れた。

以下略 AAS



10:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 22:25:46.93 ID:JKum/CnfO

水瀬伊織は、渡米前の中学二年生から三年生の一番多感な時期をアイドルとして過ごした。

その頃の彼女にとって大切なものは、自分の価値を世の中に……いや、父親に知らしめることだった。

以下略 AAS



11:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 22:28:32.04 ID:JKum/CnfO

そんな彼女が高槻やよいと初めて出会ったのは、中学二年になったばかりの頃だ。

大通り沿いの建物群に埋もれそうな古いビル。

以下略 AAS



12:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 22:30:32.11 ID:JKum/CnfO

「ねえ、見たところ私と同じくらいに見えるけど、あなたはここで働いてるの?」

「はい! その、わたしもいちおうアイドルこうほ生なんですけど、まだお仕事があんまりなくて……。それで、社長にお願いしてこうして働かせてもらってるんです!」

以下略 AAS



13:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 22:32:18.42 ID:JKum/CnfO

それから伊織が765プロへ行くと、毎日やよいが彼女を出迎えた。


「おはようございます! 伊織ちゃん!」
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 22:34:11.23 ID:JKum/CnfO

「……あ、おはようございます、伊織せんぱい! そろそろ来る時間かもって思ってました!」

「また掃除してるのね。そんなの使用人に任せればいいのに」

以下略 AAS



15:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 22:37:43.63 ID:JKum/CnfO

そんな日々がしばらく続き、伊織がアイドル活動に慣れはじめた頃。

彼女のプロデューサーがある提案をした。

以下略 AAS



16:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 22:42:26.48 ID:JKum/CnfO

伊織とやよいが共にアイドル活動をしていくことに決まったこと。

やよいはそのことをとても喜んでいたが、伊織にとっては複雑な思いだった。

以下略 AAS



17:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 22:44:28.33 ID:JKum/CnfO

「……今のところは二人の動きをもっと合わせて。もう一回最初からだ!」

「はぁ、はぁ……!」

以下略 AAS



18:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 22:47:14.03 ID:JKum/CnfO

「……うーん、なかなか息が合わないな。とりあえず今日はもう遅いし、続きは明日にしようか」

全身は汗だくで、筋肉が固まってしまったように手足が動かない。

以下略 AAS



19:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 22:49:03.31 ID:JKum/CnfO

やよいは汗を輝かせながら嬉しそうに笑っている。

私は喋ることすらままならないというのに。

以下略 AAS



20:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 22:50:30.48 ID:JKum/CnfO

「…………よし、今日はここまでだ。二人ともお疲れ様。着替えたら家まで送って行くよ」

「はぁ、はぁ……ありがとうございます! プロデューサー!」

以下略 AAS



21:名無しNIPPER[saga]
2018/03/25(日) 22:53:02.02 ID:JKum/CnfO

「……なかなかやるじゃない、あんた」

「えっ、そうなんですか?」 

以下略 AAS



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