15:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 01:50:55.09 ID:y2wSW8Jko
「千鶴もカレー大盛りにする?」
「う、うん」
16:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 01:52:01.51 ID:y2wSW8Jko
「よし。だったら今日は優勝記念じゃなくて、千鶴がアイドルになった記念日だな!」
全てを話し終えたとき、お父さんは膝をパンと叩いてそう言った。
17:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 02:01:17.24 ID:y2wSW8Jko
「家のことなら心配するな。俺も母さんもいる」
「ふふ、お兄ちゃんのときもこんなことがありましたねぇ」
18:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 02:03:40.31 ID:y2wSW8Jko
「そ、それはちょっと難しい、かも。大学で私のことをセレブだと思っている人がいるって前に話したじゃない?
プロデューサーも私のことをセレブだと思ってるかもしれなくて」
少しだけ嘘をついているけど間違ったことは言っていない。それを聞いたお父さんはハッとした顔をして私を見る。
19:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 02:05:37.60 ID:y2wSW8Jko
「そう? でも大変だと思うわよ? 自分のことを隠してやっていくなんて」
「それは……大丈夫! 大学でもバレたことないんだから!」
20:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 02:07:25.37 ID:y2wSW8Jko
「ここが……765LIVETHEATER……」
時刻は三時三十分。家にいても落ち着かず予定よりずっと早く来てしまった。
21:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 02:15:40.20 ID:y2wSW8Jko
「あっ……ああ!? プロデューサーさんでしたの! なんだ……てっきり不審者と間違われたのかと」
「あはは……すみません、誤解させてしまったみたいで。それよりよく一目で俺だと分かりましたね」
22:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 02:19:03.91 ID:y2wSW8Jko
「わたくしの方こそ、時間よりも早く来ましたのによくわかりましたわね。服も前と違うはずですけど」
恰好を見るからにたまたまスタッフとして外に出ていただけのプロデューサーさんがどうして早く来ていた私を見つけることができたのか。
プロデューサーさんはキョトンとした顔で私の顔を見つめたあと、気恥ずかしそうに笑った。
23:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 02:21:27.75 ID:y2wSW8Jko
「それよりプロデューサーさん? これからあそこで何が始まるんですの?」
「決まってるじゃないですか。ライブですよ」
24:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 02:24:03.11 ID:y2wSW8Jko
「おっいたいた。おーい皆、遅くなってごめんよ」
プロデューサーさんが手を振る。その目線の先には可愛らしい衣装に身を包んだ女の子が三人。
25:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 02:26:00.40 ID:y2wSW8Jko
「当然でしょ。私の偽物なんて世界中の誰にも務まるわけないじゃない。
それで? これがアンタの言ってた新人? 見た目は……まっ悪くないわね」
「はい! 千鶴さんとっても綺麗です!」
26:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 02:29:41.15 ID:y2wSW8Jko
「それはいいけど。その語尾のですわってなんなのよ」
伊織ちゃんの発言に私の心臓が飛び跳ねた。そう言えば伊織ちゃんはあの有名な水瀬グループのお嬢様。正真正銘のセレブだ。
27:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 02:32:33.02 ID:y2wSW8Jko
三人を見送ってから私とプロデューサーは関係者席まで移動した。舞台裏と違い、ここは熱気で満ち溢れている。
プロデューサーから良かったら、と三人のイメージカラーのサイリウムを受け取った。
「そう言えば、アイドルのライブなんて初めてですわ」
28:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 02:35:13.45 ID:y2wSW8Jko
一生忘れない、そう思えるライブが終わった。半ば放心状態だった私の隣にいつの間にかプロデューサーさんが立っていた。
「楽しんでいただけましたか?」
29:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 02:37:11.28 ID:y2wSW8Jko
「少なくとも、あれを超えるステージを実現できなければトップアイドルにはなれない。そうですわよね」
「はい。そして彼女たちでさえ、トップアイドルの座を目指す途中にいる」
30:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 02:37:49.17 ID:y2wSW8Jko
「貴方は、わたくしを導いてくれますか?」
31:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 02:49:04.32 ID:y2wSW8Jko
プロデューサーは差しだされた手を見つめ、再びわたくしの目を見つめ。
力強く、わたくしの手を握ってくれた。
「もちろんです。俺は、最初からそのつもりでスカウトしたんですから!」
32:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 02:51:17.85 ID:y2wSW8Jko
プロデューサーに連れられて会場から出る前に、わたくしは振り返って会場全体を見回した。
空っぽの座席、誰もいないステージ。そこにわたくしの理想を思い描く。
わたくしがステージに立ち、大勢のファンがわたくしを迎えてくれる。何を思うだろう。どんな気分だろう
33:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 03:04:24.65 ID:y2wSW8Jko
おしまい、ということで二階堂千鶴の誕生日を記念して投稿してみました。
この作品、実はミリシタがリリースしてすぐに書き始めたのですが投稿する時期を逃してお蔵入りしてました。
ですが千鶴の誕生日ということで完成させて投稿したという次第です。
34: ◆NdBxVzEDf6[sage]
2017/10/21(土) 03:08:58.36 ID:Fw50dqIC0
i.imgur.com
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あれを補完してる感じいいねえ
おつです、千鶴さん誕生日おめでとう!
35:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 11:29:41.50 ID:lwaGrr7Vo
乙、こういう話に弱いんだ…家族とのやり取りの辺りとか特に好き
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