62: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/28(火) 23:18:34.32 ID:AjfzXomJO
63: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/28(火) 23:19:22.64 ID:AjfzXomJO
大学に入って感じたのは、授業がつまらないということだ。
程度が低いわけではない。ただ、大講堂で遠くから講義を聞くだけの、受け身の授業は退屈さしか感じない。
週に何回かある実験も、さほど僕の心を興奮させるものではない。教授が求める答えを、ただ実験で導きだすだけだ。
教養課程ーーリベラルアーツというものは、こういうものなのかもしれない。ただ、理系でゼネラリストを育てようとすることに、何の意味があるのかは甚だ疑問だった。
64: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/28(火) 23:23:53.00 ID:AjfzXomJO
*
「……ふう」
家路についたのは夜9時を回ってからだ。家の近くにある麻婆麺屋で腹を満たす。
65: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/28(火) 23:24:50.89 ID:AjfzXomJO
僕の心に、例えようのない恐怖がわき上がった。一体、何のために?まさか僕に、何か用なのか?
そして、秋分の日に僕の後を尾行していたのは、こいつだと直感した。あれはやはり、幻覚ではなかったのだ。
「コナン」は、ゆっくりと僕に近付いてくる。逃げる?こんな子供の脚なら、きっと振り切れ……
66: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/28(火) 23:25:38.26 ID:AjfzXomJO
運転席には中年の男がいる。……父親だろうか。
「き、君は、何者だ」
67: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/28(火) 23:26:05.48 ID:AjfzXomJO
68: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/28(火) 23:27:20.36 ID:AjfzXomJO
僕が返事を返すまで、数秒かかった。意味が分からない。
「……は?まさか、君は未来人とでも言うのか?」
69: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/28(火) 23:28:08.18 ID:AjfzXomJO
「僕も、だって?」
「その可能性はかなり高い。ただ、完全に『思い出してはいない』。正直、それでよかったとは思ってるけどね」
70: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/28(火) 23:28:47.48 ID:AjfzXomJO
71: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/28(火) 23:30:28.83 ID:AjfzXomJO
今日はここまで。プロローグはこれで終了となります。
なお、一部で某シリーズに関わる単語が出ていますが、某シリーズと本作は直接的な関係はありません。多分。
ただし、ここで彼の名とある単語を出した意味は、単なるお遊びではなく存在します。
72:名無しNIPPER[sage]
2021/09/29(水) 18:27:04.83 ID:LQEGzbto0
つまらん…
73: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/10/02(土) 19:32:37.21 ID:gfGIXtqkO
残り88日
74: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/10/02(土) 19:37:51.96 ID:gfGIXtqkO
何か,様子がおかしい。
75: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/10/02(土) 19:38:25.79 ID:gfGIXtqkO
*
「……ここは」
「そ、牧場」
76: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/10/02(土) 19:39:01.26 ID:gfGIXtqkO
*
羊やアルパカと戯れているうちに、すぐにお昼になった。絶叫マシーンや派手なショーがなくても、意外と時間は早く流れる。台風一過、空が透き通るように青い。
はじめは所在なげにしていた俊太郎も、あたしに連れられて動物たちに触っているうちに、まんざらでもない様子になった。俊太郎は、何か難しいゼミに入っている、らしい。その準備とかで、気が張り詰めている所はあるのだろう。今の彼に必要なのは、こういうゆっくりとした時間なのだ。
77: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/10/02(土) 19:39:39.66 ID:gfGIXtqkO
……と、その時。
俊太郎の表情が、急に崩れた。
78: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/10/02(土) 19:40:13.94 ID:gfGIXtqkO
耳元で、小さく俊太郎の声が聞こえた。
79: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/10/02(土) 19:40:47.54 ID:gfGIXtqkO
*
牧場を出た後、あたしたちは海ほたるに寄ったぐらいで、ほぼ真っすぐにうちに帰った。
「ラブホに行かない?」と誘ったけど、「それはまたでいい」と断られた。俊太郎にしては珍しいけど、そういう気分でないのはよく理解できる。
身体を使って繋がりを確認したいなんて……不安なのは、あたしもかもしれない。
80: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/10/02(土) 19:41:22.87 ID:gfGIXtqkO
*
エバーグリーン自由ケ丘には、6時前に着いた。辺りはかなり暗くなっている。車はそんなに運転しないけど、何とか何事もなく着けた。
たまにはこういうドライブもいいかもしれない。もっとも、今日はパパが車を使わないからできたわけで、そんなに頻繁にはできないけど。
81: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/10/02(土) 19:41:50.27 ID:gfGIXtqkO
その時、あたしはふと違和感を覚えた。
82: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/10/02(土) 19:42:44.02 ID:gfGIXtqkO
今日はここまで。明日水元パートです。
相変わらず色々伏線をばらまいています。中盤以降に読み返すと、印象がかなり変わる回かもしれません。
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