66: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/28(火) 23:25:38.26 ID:AjfzXomJO
運転席には中年の男がいる。……父親だろうか。
「き、君は、何者だ」
「コナン」が男の方を見た。
「やはり『思い出して』はいないね。僕の顔を見て、過剰に反応はしてたけど」
「『覚醒レベル』は恐らく1、だな」
「もう少しあるといいけど。それはこれから分かる」
覚醒レベル?一体、何を言ってるんだ?
「コナン」がもう一度、僕を見た。
「僕が何者か、その説明をするには多分時期尚早だ。申し訳ないが、あなたは質問に答えてさえくれればいい」
「し、質問」
「ああ。簡単な質問だ。……最近、勘が鋭くなったという気はしないか。まるで、この先何が起こるのか、事前に理解できているような」
背中に冷たいものが走るのが分かった。
心当たりは、ある。株式相場がいつ上がり、下落するのか。理屈ではなく、直感的に理解できた。
だから、僕はそんなに大した知識もないのに、投資で儲けられていた。ただそれに従い、先読みして売買すればよかったのだ。
それは、ただ勘が鋭いだけだと思っていた。……違うのか?
「コナン」の目が、鋭さを増した。
「心当たり、あるようだね」
「何が、言いたいんだ」
「次の質問だ。最近、悪夢は見ていないか」
汗の量が、一気に増えた。
「……なぜそれを」
「……『覚醒レベル』、2かもね」
「思ったよりは進んでいるな。お前のことは、うっすら覚えている程度のようだが」
男の言葉に、「コナン」が小さく頷く。
「これなら、少し話してもよさそうだ。竹下さん、あなたが見ている悪夢の内容、大体見当が付く。マンションが倒壊した夢じゃないか?」
驚きのあまり、声も出ない。本当に、何者なんだ?
「沈黙は肯定と受け取るよ。それはただの悪夢じゃない」
「コナン」が少しだけ、身を乗り出した。
82Res/61.45 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20