100日後に死ぬ彼女
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80: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/10/02(土) 19:41:22.87 ID:gfGIXtqkO
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エバーグリーン自由ケ丘には、6時前に着いた。辺りはかなり暗くなっている。車はそんなに運転しないけど、何とか何事もなく着けた。
たまにはこういうドライブもいいかもしれない。もっとも、今日はパパが車を使わないからできたわけで、そんなに頻繁にはできないけど。

マンション脇の大型商業施設には、かなり客が入っているようだった。高級スーパーに加えて、有名ブランドショップがテナントに入っている。自由ケ丘らしいちょっとお洒落なパティシエールやイタリアンレストランなども入っていて、あたしもたまに使う。
日本でも滅多にないこの高級ショッピングモールは、開業から10年経った今でも客足が途絶えない。あたしが三友地所をインターン先に選んだのも、ここのデベロッパーである影響が大きかった。

「っしょ」

ほぼ空のリュックを背負い、あたしは駐車場を出た。パパとママに、何か買って帰ろうかな。

その時、スーパーの方から、誰かがあたしを見ているのに気付いた。……あれ、どこかで見たことがあるかも。
その子連れの人影は、私に向かって一礼した。あ、あの人は。

「毛利さん?」

近づくと、彼は照れながら笑顔を浮かべた。

「奇遇ですね!この辺にお住みなんですか?」

「いや、嫁に連れられて、でしてね。木ノ内さんは、こちらに」

「はい。本当に偶然ですね。お子さんですか?」

毛利さんが小さな女の子を見た。まだ、小学校に上がる前だろうか。毛利さんの手を握っている。

「ええ。亜衣、ご挨拶は」

「もうりあい、です。はじめまして」

ぺこりと、その子が頭を下げた。

「すごくしっかりしたお子さんですね。あたしがこのぐらいの時は、こんなにちゃんと挨拶できなかったですから」

「……まあ、実の子じゃないんですけどね。連れ子でして」

そうなのか。毛利さんは30代前半っぽいから、このぐらいの子がいても不思議じゃないけど。

「あっ、すみません。何か複雑な事情が……」

「いや、大した話でもないんですけどね。おっとごめんなさい、嫁を待たせてるんで、また今度。竹下君によろしく」

「どうもすみません」

そう言うと、毛利さんは商業施設の駐車場の方へと去っていった。実の子じゃないって言ってたけど、仲の良さそうな家族っぽいな。



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