13:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:52:05.41 ID:S9RXO5Th0
『彼女』にとって、二人は鮮やかだった。
制服と同じ、灰色の世界に足された二色の絵具だった。
14:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:53:08.64 ID:S9RXO5Th0
学校で、喫茶店で、コンビニで、練習場で。
色々な記憶が巡っていく。
15:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:53:41.31 ID:S9RXO5Th0
『……』
その子は、車庫で一人佇んでいた。
16:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:55:18.97 ID:S9RXO5Th0
つま先からやすり掛けされているかの如く『彼女』は摩耗していった。
逃げ出そうとする足に、鎖のように絡みつく想い出が『彼女』を更に苦しめていた。
17:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:56:02.03 ID:S9RXO5Th0
『こんな、こんな事ならいっそっ……』
震える彼女の声が、その先を紡ごうとした時。
18:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:56:57.00 ID:S9RXO5Th0
次に、冷たいコンクリの床を這うよう映す映像。
画面の手前側から真っ黒な何かが水たまりのように広がっていく。
19:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:57:30.33 ID:S9RXO5Th0
・
・
・
「……………………っ!?」
20:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:58:02.19 ID:S9RXO5Th0
捨てたのではない。
21:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:58:40.65 ID:S9RXO5Th0
「あなたは……どうしたいの?」
それは、頷きだけじゃ答えられない問いかけ。
22:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:59:37.48 ID:S9RXO5Th0
「私の欲しいものを持っているあなたが妬ましかった」
努力と才能。
23:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 02:00:17.78 ID:S9RXO5Th0
大切だから。
失う痛みが怖いから。
だから忘れた。
24:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 02:00:55.64 ID:S9RXO5Th0
「だからもう、一人で泣く必要なんてないわ」
霞のような彼女を潰してしまわないように優しく、それでも確かに力を込め抱きしめる。
25:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 02:01:29.99 ID:S9RXO5Th0
それはきっと虚勢だ。
大丈夫だなんて言えるわけが無い。
だけど、だけどだ。
26:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 02:02:30.05 ID:S9RXO5Th0
・
・
・
「ただいまー!」
27:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 02:03:34.37 ID:S9RXO5Th0
・
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あれから一週間。
28:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 02:04:36.64 ID:S9RXO5Th0
「言っとくけど、あの子はまだあそこにいるから。交渉の結果人前には姿を現さないってしてくれてるだけよ」
「うんだから幽霊と交渉してるのがもうおかしいからね?」
29:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 02:05:20.04 ID:S9RXO5Th0
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30:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 02:05:51.21 ID:S9RXO5Th0
「私たちがもう、大切なものを忘れたりしないように」
31:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 02:08:53.16 ID:S9RXO5Th0
3話が面白かったので昔書きかけで放置していたのを引っ張り出して書き上げました。
黒森峰女学園準決勝進出おめでとうございます。
32:名無しNIPPER[sage]
2021/04/18(日) 03:09:47.50 ID:azgl270fO
わっふー?
33:名無しNIPPER[sage]
2021/04/18(日) 17:07:33.62 ID:myC7+e8qo
乙ー
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