25:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 02:01:29.99 ID:S9RXO5Th0
それはきっと虚勢だ。
大丈夫だなんて言えるわけが無い。
だけど、だけどだ。
親を待ちわびる迷子のようなこの子の前で、私が虚勢を張らないでどうするのだ。
この子を、安心させないでどうするのだ。
この子は、『あの子』なのだ。
私たちと同じ時間を過ごし、笑ったり、泣いたり、怒ったりした、『彼女』なのだ。
「だから、泣かないで。あなたはもう、笑っていいの」
この海のどこかにいる『彼女』のようにこの子だって笑っていい。
影だからっていつまでも泣いている必要なんて無いのだから。
彼女は顔を上げ私を見つめる。
その顔はやっぱり何も映っていないけれど、彼女は確かに笑っていた。
たぶんきっと、私みたいに下手くそに笑っていた。
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