13:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:52:05.41 ID:S9RXO5Th0
『彼女』にとって、二人は鮮やかだった。
制服と同じ、灰色の世界に足された二色の絵具だった。
『友達?……そうか、それは……本当に良かったな。』
彼女の姉はそう言って微笑んだ。
友達が出来て嬉しかった。
隣り合う人が出来て嬉しかった。
それを、姉に報告できた事が嬉しかった。
それは、『彼女』の想い出だった。
場面が次々と切り替わっていく。
『黒森峰の桜並木は綺麗だね』
『桜はどこだって綺麗よ』
桜の季節。
『海かー。たまには行ってみたいなぁ』
『いやいるじゃないの現在進行形で海の上に』
『そういう事じゃないんですよエリカさん』
向日葵の季節。
『紅葉が綺麗だね』
『ただの落葉前の化学反応でしょ』
『エリカさんはもうちょっと風情を楽しみましょうか』
紅葉の季節。
『うっそ雪?なんでわざわざ雪降るような航路とるのよ……』
『私は雪好きだよ?とっても綺麗だし』
『ほらエリカさん雪だるま!』
雪の季節。
33Res/35.62 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20