27:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 02:03:34.37 ID:S9RXO5Th0
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あれから一週間。
幽霊騒ぎは無事解決。
小梅が眠れぬ夜を過ごすなんて事にはならずに済んだ。
私としても友達の悩みを解決出来たという点においては中々清々しい気持ちだが、例の件を私が解決した、などと吹聴されると面倒極まりないのでエミと小梅の二人には堅く口留めをした。
―――はずなのだけど。
「ねぇ、なーんで『逸見エリカが車庫の幽霊を除霊した』って噂が広まってるのかしら?」
喧騒がBGMとして流れる昼時の食堂。
私は向かいの席に座るエミに向かってナイフのような笑みを向ける。
「いやだって新隊長なんだからなんか箔付け欲しいじゃん?んで丁度いいのがあるじゃん?」
いけしゃあしゃあとほざく重要参考人の顔面にお手拭きを叩きつけて溜息。
やっぱりこいつが漏らしたのか。
「あのねぇ……それは霊能力者としての箔付けであって隊長としての箔じゃないでしょ。ていうか私は別に除霊はしてないってば」
私がやった事と言えば精々彼女を見つけてそれっぽい事を言って慰めてあげただけ。
除霊なんて物騒な事はやっていない。
だというのに元々あった車庫の幽霊の噂話に私という尾ひれがついた結果、噂話は私さえ取り込んで更に大きく成長したというわけだ。
「今となっちゃエリカが除霊したって意見が主流になってるね」
「情報ってこうやって捏造されるのね……」
人はいつだって真実よりも分かりやすく信じたいものを信じる。
現に食堂に来る道中でも『最近肩が重いんですけどこれって幽霊のせいですか!?』といった相談を受け近場のマッサージ店を紹介したところだ。
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