17:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:56:02.03 ID:S9RXO5Th0
『こんな、こんな事ならいっそっ……』
震える彼女の声が、その先を紡ごうとした時。
彼女の様子が変わった。
張り詰めて、ひび割れて、今にも崩れ落ちそうだったその声に、力が戻った。
曇り切った彼女の視界が光を取り戻す。
『…………仕方ないよね、私はもう、ここにいられないんだから』
その声には先ほどまでの未練はなく。
『大丈夫だよきっと。お姉ちゃんも、エリカさんもいるし』
まるで、背負っていた荷物を下ろしたかのように。
『私なんて、最初から必要無かったんだよ』
鎖なんて、最初からなかったかのように。
『……さようなら』
誰もいない車庫にそう呟いて彼女は去っていった。
―――そこで、映像が途切れた。
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