15:名無しNIPPER[saga]
2021/04/18(日) 01:53:41.31 ID:S9RXO5Th0
『……』
その子は、車庫で一人佇んでいた。
V号戦車の前で、じっと佇んでいた。
『ごめん、なさい』
震える声だった。
今にも泣き出しそうなのを、無理やり抑え込んでいる。
そう思ってしまうほどに、彼女の声はひび割れて、悲痛だった。
『赤星、さん、お姉、ちゃん、………………エリカさん』
懺悔するように友と姉の名前を呼ぶ。
だけど、その言葉に慰めも説教も返ってこない。
『ごめん、なさい。ごめん、なさい、ごめんなさいっ……』
だけど、彼女は謝り続ける。
傷口を抱きしめるように。押し広げるように。
『嫌だよ、いやだよっ……行きたく、ないよっ……』
言うたびに傷口から血のように後悔が流れ出す。
『でもっ……でもっ……、もう、これ以上ここに、いたくないよっ……』
33Res/35.62 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20