黒埼ちとせ「進化論」
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43:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:28:38.76 ID:W5lmC8VA0
『あー、昔のキリンさんは、今ほど首が長くなかったんだ?』
『そうそう!
 たぶんパパが子供の頃、買ってもらった風船が高い所に引っかかっちゃって、
 うぇーん、ダディー、風船が飛んでっちゃったよー、って泣いても、その時のパパのパパは首が長くなくて、
 おぉぉマイサン、すまない、私ではどうすることもできないのだよ、なんて』
以下略 AAS



44:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:30:38.97 ID:W5lmC8VA0
『あっぶなぁ〜。咄嗟にあたし渾身の激寒ギャグを出しちゃったわぁ〜』
『あ、そっかー☆ これ言っちゃいけない話だったね、ゴメンゴメン』
『フレちゃん、そんな話よりも美嘉ちゃんのさ、この間のファミレスの話でもしたらどう?』
『えっ、ミカちゃん?』
『ほら。タバスコモリモリのピザを志希ちゃんに食べさせられて、お婆ちゃんみたいな喋り方になった話』
以下略 AAS



45:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:33:03.62 ID:W5lmC8VA0
「無闇に殺しちゃうのは、可哀想だよ」

 千夜ちゃんなら、彼よりも手際よく始末しちゃうんだろうなぁ。
 そんな事を考えながら、私はそばにあったコピー用紙を一枚取り、その子をその上へ招き入れる。

以下略 AAS



46:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:37:03.43 ID:W5lmC8VA0
「……あぁ。なんかで見た記憶があるな」

 何で今その話をするんだ、って顔に書いてある。
 本当に、呆れるくらい正直な人。

以下略 AAS



47:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:39:22.10 ID:W5lmC8VA0
 彼は手を止め、私を見上げた。

「お前や千夜を、トップアイドルに育て上げることだ」
「それは、あなたのプロデューサーとしての仕事の話でしょう?」

以下略 AAS



48:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:40:55.41 ID:W5lmC8VA0
「何かあったのか?」

 心配そうに、あるいは少し、臆病そうに、彼は再度問いかける。

 私なんかのために、いちいち真に受けてくれるの――ほんと、おっかしい。ふふっ。
以下略 AAS



49:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:43:35.91 ID:W5lmC8VA0
 いつの間にか、フレデリカちゃんの番組は終わっていたみたい。

 ラジオは今、過払い金がどうとかいう何とか法律事務所のコマーシャルを流している。
 魔法使いさんがしょっちゅう流すから、私まで覚えちゃった。

以下略 AAS



50:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:46:05.41 ID:W5lmC8VA0
 ボンヤリと、独り言のように魔法使いは語り始めた。

「デカい車を買って、気立ての良い人を嫁さんにもらって、マイホームを手に入れて……
 子供は、女の子と男の子の順で一人ずつ。仕事も適当に忙しすぎず、暇すぎず、細く長く続けていられたら、とかかな」

以下略 AAS



51:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:47:37.79 ID:W5lmC8VA0
 他人任せの、偉そうな感じがしていた。
 どことなく“やらされてる感”がして、ずっとこの言葉が気にくわなかった。

 でも、そうだ――私が考えていたのは、もしかしたら使命じゃなくて。

以下略 AAS



52:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:50:31.12 ID:W5lmC8VA0
「千夜ちゃんっ」

 玄関ドアをガチャンッ! と突進せんとばかりに叩き開ける。

 ビックリして振り返った千夜ちゃんは、リビングのソファーに座っていた。
以下略 AAS



53:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:54:34.88 ID:W5lmC8VA0
「千夜ちゃん……アイドルは、楽しい?」

 紫に煌めく千夜ちゃんの瞳が、少し大きくなった。

「ちゃんと答えて……私に、阿ることはしないで……」
以下略 AAS



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