50:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:46:05.41 ID:W5lmC8VA0
ボンヤリと、独り言のように魔法使いは語り始めた。
「デカい車を買って、気立ての良い人を嫁さんにもらって、マイホームを手に入れて……
子供は、女の子と男の子の順で一人ずつ。仕事も適当に忙しすぎず、暇すぎず、細く長く続けていられたら、とかかな」
「……それ、使命?」
イメージしていたものとは随分違う答えに、目が点になる。
「俺にも分からん。ただ」
彼は組んでいた腕を解き、カップを持っておもむろに立ち上がった。
「一つだけ言えるのは、使命ってたぶん、誰かから強要されるものとは違うんじゃないかって思うんだ」
そのまま彼は、給湯器の方へ進んでいく。
「自分で、見出すもの?」
「俺はそう思う。
命令されたり、お願いされたりするんじゃなくて、自ずからこうしたい、こうありたいと願う、というか……そう」
カップにお湯を入れ、インスタントコーヒーをスプーンでカチャカチャ回しながら、彼はふと天を見上げ、私に向き直った。
「言い換えれば、夢ってことにもなるんじゃないか?」
「夢……」
――それがパパやママの夢だったからじゃないかな☆
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