47:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 18:39:22.10 ID:W5lmC8VA0
彼は手を止め、私を見上げた。
「お前や千夜を、トップアイドルに育て上げることだ」
「それは、あなたのプロデューサーとしての仕事の話でしょう?」
私は歩み寄り、彼のデスクの縁におざなりに腰掛ける。
「私が聞きたいのは、あなたの使命。
あなたという個人の、人間としての」
魔法使いは、いつになく真剣な顔をして、私の目をじっと見つめた。
「……何をそんなに焦っているんだ、ちとせ」
「えっ?」
虚を衝かれたような心持ちになり、思わず言葉を失う。
「…………」
「……焦っている、か……そうかもね}
私は一人でかぶりを振り、自嘲じみて小さく笑った。
「言ったかな……私、長くないと思うの。
だから、今が楽しければいい。私には、未来が無いから。
私の代わりに、未来を生きてくれる千夜ちゃんがいてくれたら、他に何もいらない。
そう、思っていたのになぁ」
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