49: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:12:07.10 ID:nY0iWbpOO
「あのっ。せっかくのお鍋なんですし、みんなで好きな入ものを入れて鍋パーティーでもしませんか?」
「美穂……」
次から次へと襲いかかる信じられない情報に振り回されて辛くしんどいのは美穂だって同じなはずなのに。なんとかこの場を盛り上げようと頑張っているその姿に俺は安心すると同時に誇らしく思えた。熊本の女は強い、その矜持に偽りはない。
50: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:13:39.33 ID:nY0iWbpOO
「ふぅ……」
お腹いっぱい鍋を堪能した俺は1人外で眠気覚ましのコーヒーを飲んでいた。ブラックコーヒーなんて普段飲まないけど、眠気を飛ばしてくれそうなものはそれしかなかった。時間はわからないけどそろそろ今日が終わる頃合いだろう。
「おや、プロデューサー殿も同じ考えでありましたか」
51: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:14:12.49 ID:nY0iWbpOO
「藍子からカメラも借りてきた。逃げられたとしてます何か手がかりを撮れたら良いけど……」
「日付が変わるまでまだ時間がありそうですね。少し話でもして待ちましょう」
「そうだね。担当外ってこともあったから亜季とこうやって話す機会あんまなかったしな」
52: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:14:50.50 ID:nY0iWbpOO
「……サーさんっ! プロデューサーさんっ!」
「んん……」
「やった、目を覚ましましたっ!」
53: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:15:28.35 ID:nY0iWbpOO
「はい、プロデューサーさん」
「ありがとう美穂」
シャワーを浴びて美穂が入れてくれたコーヒーを頂戴する。いつも俺が事務所で飲んでいる姿を見ていたからか俺が言わずとも砂糖を入れてくれる。昨日は寝てしまわないようにブラックコーヒーを飲んだけど、基本的には砂糖を3つ入れないととてもじゃないけど飲めないくらい子供舌だ。あれだけ苦いをして結局眠ってしまい苦々しい気分だ。
54: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:18:01.21 ID:nY0iWbpOO
「お花見しよーよ! はい!」
「やはり桜を見ながら飲むお酒は別格でありますな!」
「まだまだ料理はありますからね! どんどん食べてくださいね!」
55: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:18:33.07 ID:nY0iWbpOO
美穂のお酒のつまみ好きは割と有名で、未成年でお酒が飲めないにも関わらずお酒の強そうなアイドルランキングで上位に食い込んでるほどだ。呑兵衛アイドルの皆様とおつまみの話で盛り上がっていたって報告もあるくらいだしね。
「美穂は何飲む?」
「えっと、じゃあオレンジジュースを……」
56: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:19:15.01 ID:nY0iWbpOO
「プロデューサーさん、寝相悪いね」
「一応聞くけど加蓮。今の季節は?」
「見ての通り、夏だけど?」
57: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:20:03.68 ID:nY0iWbpOO
「きゃー! 美穂の足元にフナムシの行進!」
「きゃあ!?」
可愛らしい悲鳴と共に美穂が転がるように木の裏から出て来た。水着で。
58: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:21:57.58 ID:nY0iWbpOO
「いや、つーかなんで水着あんのさ」
「早起きして外見たら絶好の海日和になってたから、寮のみんなを起こして亜季さんの運転でモールまで水着買いに行きましたとさ」
なら起こしてくれてもよかったんじゃないか? 俺ずっと夏草の中で寝てたんだぞ。
59: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:22:26.32 ID:nY0iWbpOO
「ショッピングモールに売ってありました! 実は私、テレビで見た素潜りでの銛突きに憧れていたのです」
恐らくとったどー! ってフレーズでお馴染みのアレだろう。
「しかし都会の海は濁っていて海の中の魚ははっきり見えず、銛突きには不向きでした。しかし、ご覧ください! この透き通るような海の青! まるで沖縄の海をそのまま持ってきたみたいではありませんか!」
143Res/165.23 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20