51: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:14:12.49 ID:nY0iWbpOO
「藍子からカメラも借りてきた。逃げられたとしてます何か手がかりを撮れたら良いけど……」
「日付が変わるまでまだ時間がありそうですね。少し話でもして待ちましょう」
「そうだね。担当外ってこともあったから亜季とこうやって話す機会あんまなかったしな」
「いつぞやの企画以来でありますな。月並みな言葉ではありますが、美郷小学校のみんなの思い出の1ピースになれたことを心から誇りに思っております」
「それは良かったよ。亜季を選んだ俺の選択は間違ってなかったみたいで」
冷めかけのコーヒーを片手に話は弾む。亜季のお兄さんと同い年だと言うこと、好きなシュワルツェネッガーの映画はコマンドーで台詞はほとんど暗唱できること、元に戻ったらサバゲーに参加しないかと誘われたこと。成人した男女が雪の中なんてロマンティックなシチュエーションなのに話題のどこを探してます色気もへったくれもない。だけど女子校のクラブの引率の先生状態になっている今、馬鹿みたいなことも言い合える亜季の存在はありがたかった。
「プロデューサー殿、そろそろでありますな」
「ああ、奴さんをとっ捕まえるとしますか」
緊張感を伴う息は白く、静寂の中俺と亜季は息を殺して隠れる。すぐに写真を撮れるようにシャッターボタンに指をかける。隣の亜季もいつでも発砲できる状態だ。
「ふぁーあ……あ……れ? 急に眠く……」
「亜季? おい、亜季っぐ……!」
しかし俺たちの目論見は外れてしまう。ブラックコーヒーを飲んで追いやっていたはずの睡魔が唐突に襲いかかる。催眠術にかかったみたいに目蓋は重力に引っ張られて、俺と亜季は雪の中に倒れて眠りについてしまう。最後に見たのは大きく輝く冬の大三角形だ
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