1:名無しNIPPER[saga]
2018/02/18(日) 22:56:46.93 ID:TkjN/KL+0
失恋をした。
同じサークルの同級生で、彼女はよくモテた。そりゃーもう、高嶺の花ってやつだったさ。
彼女いない歴、イコール年齢の俺にとっては高い目標だったのかもしれない。
なぜ彼女を好きになったのか?
そこに彼女がいたからさ!
好みの子がいたら、好みじゃない子よりそちらを選ぶのが道理ってもんでしょうが!
二人で遊びに行きもしたし、一人で俺の家に遊びに来たりもしたさ。
『たっちゃんだと、気を遣わずに済むから一緒にいて楽だなー』
『私たち、ペース合うよね』
なんて言われたら、こちらは脈ありって思うでしょうが!
それで、意を決して告白してみたらよ。
『ごめん、友達としか思ってなくて……』
よくある話ってやーつ! なんて思えるかよ! 失恋したこっちの身にもなってくれっつーの! 思わせぶりなこと言ってんじゃねーよ! 何、そんなの童貞の勘違いだぁ? 童貞の何が悪いっていうんだよこの野郎!
……なんて、心の中で逆切れしても何の意味もないんだけど。
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2:名無しNIPPER[saga]
2018/02/18(日) 23:12:09.99 ID:TkjN/KL+0
一気に、何だか疲れてしまったよ。
もう恋なんてしないなんて……言っちゃうよね! こちとら安直に傷心しちゃったもんでして!
俺に救いをくれるのは二次元しかないっ! ってことで、電気街のオタクストリートを歩きながら今日の目当てを考える。
3:名無しNIPPER[saga]
2018/02/18(日) 23:23:28.91 ID:TkjN/KL+0
「あっ、いえ、こちらこそ、す、すみません」
若干どもりながらも返事をする。
視線をその手から腕、腕から顔に移していくと、そりゃもう、可愛い女の子がそこにいた。
4:名無しNIPPER[sage]
2018/02/18(日) 23:24:09.78 ID:cbG5y72SO
日本ひきこもり協会感
5:名無しNIPPER[saga]
2018/02/18(日) 23:35:50.93 ID:TkjN/KL+0
すぐ近くにある有名コーヒーチェーンに入って、アイスコーヒーをすすりながら漫画を開いた。
うわー、懐かしい。この絵柄好きだったなぁ。
学生同士の恋愛を中心にした短編集で、『ああ、こんな頃が俺にもあったなぁ』って、共感できるのは片思いシーンだけなんだけど。
6:名無しNIPPER[saga]
2018/02/18(日) 23:44:56.98 ID:TkjN/KL+0
「良かったら、うちに寄っていきません? あの漫画読む男の人ってあんまりいないと思うし、お話してみたいな」
「本当ですか? それじゃ、お邪魔し……」
いや待て、これは罠。罠だろ。罠でしかい。俺はwanna hold youだけど、彼女は罠、トラップ。
7:名無しNIPPER[saga]
2018/02/18(日) 23:55:51.80 ID:TkjN/KL+0
何だか圧倒されてしまう。漫画で見たことあるぞ、このシチュエーション。
店内はカウンターとテーブル席がいくつかに分かれていて、お客さんはチラホラいるくらい。ま、平日の昼過ぎだしね。俺みたいにお気楽な学生か、平日休みの人くらいしかいない時間帯だよね。
「おタバコ吸われますか?」
8:名無しNIPPER[saga]
2018/02/18(日) 23:57:18.57 ID:TkjN/KL+0
>>4
NHKへようこそは面白いですよね。
文庫を借りパクされて無くしちゃいました。
9:名無しNIPPER[sage]
2018/02/19(月) 00:24:50.12 ID:SSFPDcxio
おつ
きたい
10:名無しNIPPER[saga]
2018/02/19(月) 01:33:56.26 ID:PL9Xl9Ik0
「かしこまりました! 少々お待ちくださいませ」
ぺこり。またもや擬音が聞こえそうな仕草で頭を下げて、彼女はキッチンに向かっていった。
ほぇぇ、何か落ち着かないな。ついきょろきょろ店内を見まわしてしまう。
11:名無しNIPPER[saga]
2018/02/19(月) 01:45:36.45 ID:PL9Xl9Ik0
「偽名で構いませんよ」
「おっと、ナイスフォロー。さすがですね」
おちゃらけながら、何て名前にしようかと思案する。そういえば、さっきの漫画の主人公の名前って何だっけ。
12:名無しNIPPER[saga]
2018/02/19(月) 01:54:59.35 ID:PL9Xl9Ik0
「リョウ様は、何で今日こちらに?」
ミヤビさんに問われて、返す。
「えっと、こっちのお姉さんに声をかけてもらって」
13:名無しNIPPER[saga]
2018/02/19(月) 02:02:52.62 ID:PL9Xl9Ik0
「ああ、そうですね」
「そうやって煽るのはやめてくださいよ!」
本当のことなのに、ユイちゃんはそれを非難してきた。何て自己評価の低い子なんだ。
14:名無しNIPPER[saga]
2018/02/19(月) 02:09:50.20 ID:PL9Xl9Ik0
「ミヤビさん……勘弁してください……」
「もう、仕方ないですね。ギャルゲの話は聞かなかったことにしてあげます」
くそぉ、いつか絶対仕返ししてやる。
15:名無しNIPPER[saga]
2018/02/19(月) 02:23:41.44 ID:PL9Xl9Ik0
結局、お腹は空いてないと思っていたのにケーキもコーヒーもぺろっと胃袋に収まってしまった。
やばいな、今日は帰ったら走ろう。
タイミングを見て、ユイちゃんが再び席に近づいてきた。
16:名無しNIPPER[saga]
2018/02/19(月) 13:24:44.01 ID:F7qlLCsmO
翌日。サークルのために体育館へ向かっていると、後ろから阪田に声をかけられた。
「よぉ、タツ。……って、目のクマ酷いぞ? 寝不足?」
「昨日、漫画の読みすぎで……」
17:名無しNIPPER[saga]
2018/02/21(水) 00:23:03.64 ID:HjIOcR7Q0
うちのサークルは遊びにステータスを全振りしている。学生時代の体育でやったようなスポーツだったり、総合的な学習の時間(長い)でやるようなレクリエーションだったりを、その日に集まった人たちで延々と遊んでいる。
要するに、本気でスポーツをやってたやつでもなければ、完璧に文科系にも振り切れてないハンパーマンと、遊べれば良い陽キャの集団だ。カオス。
ある意味、今しかできないよな。マジで。
18:名無しNIPPER[saga]
2018/02/21(水) 00:29:07.00 ID:HjIOcR7Q0
体育館履き……ではなくバッシュ。イケてるメンズ、略してイケメン俺はダサい高校時代の体育館履きをそのまま使ったりはしないのである。
「お前、そんな気合入ったバッシュ持ってるならバスケやれよ」
阪田に突っ込まれるのも、何度目かわからない。
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