11:名無しNIPPER[saga]
2018/02/19(月) 01:45:36.45 ID:PL9Xl9Ik0
「偽名で構いませんよ」
「おっと、ナイスフォロー。さすがですね」
おちゃらけながら、何て名前にしようかと思案する。そういえば、さっきの漫画の主人公の名前って何だっけ。
「それじゃ、リョウってことにしときます」
「はい、ナイス偽名ありがとうございます。リョウ様ですね」
フランクな丁寧語を使うメイドさんって、何か良いな。こういう子もいるんだ。
ギャルゲではよくいるサブヒロインって感じだけど、実際にお姉さんにこうやって絡まれるのは結構……良いもんだな。
鼻の下を伸ばしてミヤビさんを見ていると、ユイちゃんがいそいそとトレーの上にコーヒーとケーキを載せて戻って来た。
「お待たせい致しました。ホットコーヒーとブラウニーです」
丁寧にテーブルの上に置いてから、一礼。
「うわ、ちゃんとしてる……って失礼ですよね。すみません」
メイドカフェって、もっと簡単なもので出てくると思ってたから。
コーヒーはインスタント臭のするものではないし、ブラウニーもしっとりした生地にクリームとフルーツが少し添えられている。レストランの簡単なデザートプレートと言われても違和感がない。
「ご主人様、メイドカフェは初めてですか?」
「『リョウ様』らしいわよ、ユイちゃん」
そういえば、ユイちゃんにはまだ名乗ってなかったな。横でミヤビさんがさっきの作ったばかりの偽名で呼んだ。ユイちゃんは口元を抑えて、言いなおす。
「失礼いたしました、リョウ様。えっと、当店は割と色々とこだわって調理してまして……」
「お姉さん、見た目に寄らずおおざっぱですね」
ついツッコんじゃったよ。
「すみません、あんまり言えないところもあるので……。でも、コーヒーはインスタントじゃないですし、ケーキも……」
「そこまで、ね」
ミヤビさんに止められてしまった。うーん、さすが、お姉さん。
「あはは、よくわかりました。ありがとうございます」
そのままコーヒーを一口飲んでみると、確かに今淹れましたって感じの風味が広がった。
詳しいことは分からないけど、さっきのコーヒーチェーンで淹れっぱなしのものを飲んだのよりは美味しい気がする。
「美味しいです」
「「ありがとうございます」」
二人揃えて口を開く姿は、名前の通り雅のようだ。苦しゅうない。
18Res/23.44 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20