1:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/08(金) 01:14:33.03 ID:dW68xNSs0
少女終末旅行です。地の文ありです。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 01:15:46.69 ID:dW68xNSs0
がたごと、がたごと。ケッテンクラートは走る。
じゃりじゃり、じゃりじゃり。ガラスを踏んだ音がする。
3:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 01:16:46.43 ID:dW68xNSs0
無数に連なる廃墟は、私とユーと、この音達を吸い込んでは、無に変える。
音は無音になり、私とユーは、存在を廃墟と同じ、空虚に変える。
4:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 01:18:01.90 ID:dW68xNSs0
私が読んだ本に書いてあった。昔の人は、音楽を聴いて、リラックスしてたって。
リラックスすると、段々呼吸はゆっくりになって、頭が回らなくなって、しまいには体は風邪をひいたみたいに、熱を帯びるらしい。そして眠くなる。
5:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 01:19:08.24 ID:dW68xNSs0
寒い。
がたごとじゃりじゃり、、びゅーびゅー、ぐーぐー、、。
6:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 01:19:52.20 ID:dW68xNSs0
ユーリ「雪、降ってきそーだなーって思って」
私も空を見た。灰色の空模様に、灰色の雲がもくもくと現れ始め、すぐにでも雪が降り始めそうだった。でも今に始まったことじゃない。
7:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 01:21:03.67 ID:dW68xNSs0
ユーが鼻歌を始めた。
がたごと、ふーんふふーん、じゃりじゃり、ふーーんふーん、かたかた、ふーん、びゅーびゅー、ふーーんふん、ぐーぐー。
8:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 01:22:01.56 ID:dW68xNSs0
私たちが進む先にある、ぽつんとたたずむプレハブ小屋の小さな建物。
その小屋の前には丸い、剥がれた赤色に挟まれた白の線が施された、看板みたいなのが立っていた。
9:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 01:22:53.84 ID:dW68xNSs0
チト「....おい」
ユーリ「ごめんごめん!いやーそれにしてもいいところ見つけたねぇ」
10:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 01:23:35.17 ID:dW68xNSs0
チト「雨だ」
ユーリ「あれぇ雪じゃないの?」
11:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 01:24:09.38 ID:dW68xNSs0
チト「いやそれはわかるんだけどさ。なんでそんなことする必要があるんだってこと」
ユーリ「....お腹空いた時にさ。あーこれ美味しかったなぁー、とか思ったり、この時の私はご飯食べてたなーって、記録見るたび思い出せば、お腹も膨れると思った。うん!そう思った!」
12:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 01:25:25.66 ID:dW68xNSs0
チト「でもユーを撮って後で見返しても、私はお腹は膨れない。だったら撮る意味ないだろ」
押し返す。
13:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 01:26:13.47 ID:dW68xNSs0
ユーリ「やった!じゃあお願いねちーちゃん!」
カメラの画面を私に向けた。画面には、改めて口にレーションを咥えて、ウィンクをするユーがボケて映っている。
14:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 01:26:48.77 ID:dW68xNSs0
今日はここまでです。話は書き終わっているので適当な時間に。眠いので寝ます。
15:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 11:33:19.23 ID:dW68xNSs0
ユーリ「てってんくらーと」
ざーざー。
チト「ケッテンクラート」
16:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 11:34:08.86 ID:dW68xNSs0
ユーリ「ケッテンクラート、ここに運ぼうよ」
覚えてたのか。そう思ったけど、細かいことをいちいち気にしてたら、ユーの全てが気になってしまう。そこは流しておいて、私は最後の一口を口に放り込む。
チト「ここ、狭くて運べない」
17:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 11:34:51.69 ID:dW68xNSs0
チト「どうやって」
ユーリ「ほら、燃料入れるところから」
18:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 11:36:52.65 ID:dW68xNSs0
チト「お前ガソリンの味しらないだろ」
ユーリ「ちーちゃんは知ってるの?」
19:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 11:38:00.33 ID:dW68xNSs0
ケッテンクラート。私たちが塔を目指す時に渡された乗り物。ずっと一緒だ。でも遅い。
ユーは私にこう言った。なんの前触れもなく。振り続ける雨を見ながら。
20:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 11:39:03.73 ID:dW68xNSs0
ユーリ「じゃあケッテンクラートも?」
チト「ケッテンクラートも」
ユーリ「このレーションも?」
21:名無しNIPPER[sage]
2017/12/08(金) 11:40:06.54 ID:dW68xNSs0
ユーリは起動したままのカメラをいじる。絞りのピントを意味もなく、合わせては、ぼかしたり。
ユーリ「私達の代わりにケッテンクラートは歩いて、私達の代わりに、レーションが犠牲になって私達を生かしてる。それに、私達の代わりにこの服が寒さを受けてる。頭だって、このヘルメットが代わりに守ってくれてる」
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