15:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 05:49:59.39 ID:uyzFntxd0
だから開き直ってお店の宣伝をすることにした。
「いや、マジで美味しいんだ。特に油淋鶏な、少し酢を効かせた醤油ダレなんだけど、刻んだネギを炒めたやつと絡ませて頂くともうさ、ご飯が一瞬で消えてなくなる」
16:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 05:50:45.91 ID:uyzFntxd0
「あーそうそう。なに、バイトでもすんの?」
「少し、興味が」
17:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 05:51:45.89 ID:uyzFntxd0
「しかし、どうしてバイト?」
「クリスマスが……」
18:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 05:52:27.15 ID:uyzFntxd0
「まーまーそう落ち込むなって、豊橋センセ」
がっくりと落とされた肩をポンポンと叩いて励ます。思ったよりも華奢な肩だった。やぱりもう少し太った方がいいんじゃないの……という言葉は今は飲み下す。
19:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 05:53:32.72 ID:uyzFntxd0
◇
20:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 05:54:01.09 ID:uyzFntxd0
豊橋とは関係なく、俺は本日も中華料理屋でバイトに勤しんでいた。
店長のチョウさんはいつも怪しい中国語とおかしな日本語を巧みに操り、本格的中華料理コックマンという印象をお客さんに与えている。
21:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 05:54:37.42 ID:uyzFntxd0
「ぶーちゃん、今日なに食べるアル?」
厨房で笑顔のチョウさんに尋ねられた。「ぶーちゃん、なんでも美味しそうに食べる。作り甲斐アルネ」なんてよく言われるから、俺も毎回気持ちよく賄いを平らげている。
22:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 05:55:14.88 ID:uyzFntxd0
そんな商店街通りを歩く。目的地は……近くにある、落ち着いた感じの喫茶店。普段前を通る時、ガラス張りの壁からシャレオツなピープルが上品なカップでコーヒーやら紅茶やらを啜っているのをよく見るお店だ。
俺にはきっと生涯縁がないところだなぁ、と思っていたその小洒落た軒の先に立ち、そっと店の奥まで覗いてみる。
23:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 05:55:48.94 ID:uyzFntxd0
豊橋はお店の雰囲気に妙に馴染んでいるようだった。ただ立っているだけなのにやたらと絵になる佇まいだ。
お客さんの中にはそんな姿を眺めながらカップに口をつけてる人もいた。なるほど、ここは豊橋にとって天職なのかもしれないな。
24:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 05:56:36.87 ID:uyzFntxd0
◇
25:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 05:58:20.34 ID:uyzFntxd0
「……実は、まだ」
対する豊橋は、苦笑交じりに呟いた。無邪気な悪戯がバレた子供みたいな顔だった。
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