小日向美穂「グッバイ、ネヴァーランド」
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105: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:00:19.24 ID:nY0iWbpOO
未央「みほちーとプロデューサー、2人の甘い恋が生んでしまった悲劇……っ! それが現実だったの」

愛梨「18歳になった美穂ちゃんは大人になれたと思ったんです。そしてそれを、大人であるプロデューサーさんは否定せず曖昧なままにしちゃいました」

蘭子「ゆえにこの永遠の楽園(ネヴァーランド)が生まれたのだっ!」
以下略 AAS



106: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:04:05.73 ID:nY0iWbpOO
 真相を明かされて俺たちは言葉を紡げなかった。一番ショックなのは美穂だろう。自分の、いや自分たちの甘さが悪い未来を生んでしまい……目をそらして幸せなまま過ごすことを選び、彼女にとって大人への一歩への象徴であった18歳になることを切り捨てた。きっと未来の彼女だってそんなつもりはなかっただろう。ありえもしないifを少しだけ、望んでしまっただけ。そしてそれを夢邪鬼によって歪んだ形で再現されてしまった。ネヴァーランドだなんて聞こえはいいけど、ここは後悔に囚われた美穂を閉じ込めた牢獄だった。

「少し待つであります」

「亜季?」
以下略 AAS



107: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:05:32.08 ID:nY0iWbpOO
 亜季の推理に全員がハッとする。そうだ、おかしいんだ。初期から事務所にいた美穂、卯月、藍子、加蓮。その半年後くらいに入ってきた肇。それから亜季、悠貴と芳乃。時系列でまとめるならば……第一回総選挙に参加していた5人と、それ以降に入った3人。総選挙は今年で8回やっている。にも関わらず……俺たちは歳をとっていない。みんな、プロフィールに書かれた年齢のままなんだ。

「えっと? こんがらってきました」

「ものすごくざっくりと言うと! 俺たちは何年経っても歳をとっていない! そのくせ総選挙やアニバーサリーライブの数字は増えていっている! 要は……サ◯エさん時空だ!」
以下略 AAS



108: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:07:08.71 ID:nY0iWbpOO
「なんだよ、それ」

 夢邪鬼はまるで俺たちを登場人物にしたゲームを作り上げたかのように話す。

莉嘉「美穂ちゃんが望んだ世界は美穂ちゃんだけ引き入れても仕方なかったんだ☆だってアイドルってみんながいてこそでしょ?」
以下略 AAS



109: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:08:37.54 ID:nY0iWbpOO
P「8年分さ、世界をループしてきたわけだけど……正直俺の方が限界きたんだよね」

「限界だと?」

P「飽きちゃったってこと。ロイヤルランブルみたいに小出しにアイドル出したり、色々世界に介入して来たけど……やっぱり何にも事件が起きないと退屈しちゃうわけよ」
以下略 AAS



110: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:12:14.01 ID:nY0iWbpOO
P「ただ俺も誤算があった。遠方ロケに行っていた美嘉と李衣菜を引き入れようとした時、依田の孫娘の強襲を食らってしまった。驚いたことにあの娘はループする世界の中、違和感に気付いて力を貯めていたそうだ。俺も痛手を負って、やっとのことで石像にしてやったけどこれ以上引き入れるのはキツいと判断したのさ」

 夢邪鬼は法螺貝をクルクル回しながら話す。俺たちが何にも気付かず夢の世界でループしている中でも、芳乃はただ一人反撃の時が来るのを待っていた。誰にも話せず、孤独な戦いだったのだろう。そんな中、肇と悠貴と交流を深めた。同じユニット、同期として慕ってくれる2人の存在は大きかったはずだ。そして同時に、この繰り返す世界を元に戻すための理由となっていたはずなのに。

肇「8年間。何にも触れずこの瞬間を待てば良かったのに」
以下略 AAS



111: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:16:00.90 ID:nY0iWbpOO
「亜季っ!」

「いやー、すみません皆さん。功を焦ってしまいましたな。どうやら私はここまでのようであります……! ですがみなさんならきっと……悪い夢から醒めることが出来るはず……! 美穂殿! 一足先に現実に帰ります! だからその時は……」

 一緒に誕生日を祝いましょう――。彼女は最後にそう残して消えていった。エアガンだけを残して。
以下略 AAS



112: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:17:15.02 ID:nY0iWbpOO
「……えぐっ、美穂ちゃん」

「卯月……」

 当たり前だと思っていた日常すら夢だと明かされたことよりも、目の前で美穂がさらわれたことの方がショックだったようだ。卯月の顔からは笑顔が失われ、親友の名前を呼ぶことしかできなかった。
以下略 AAS



113: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:18:46.38 ID:nY0iWbpOO
「……いや、そんなこと認めない」

 何後ろ向きになっているんだ、俺。約束したじゃないか。最後まで美穂をプロデュースするって。大きく息を吐いて覚悟を決めた俺はスーツを整えてからて立ち上がる。

「プロデューサーさん……どこに行くんですか……?」
以下略 AAS



114: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:21:16.37 ID:nY0iWbpOO
「夢邪鬼! 美穂を返してもらいに来たぞ!」

 誰もいない夜の城はファンタジーさも薄れて却って不気味だ。こつ、こつと俺の足音が響く中、突然周りのライトが点灯した。

「ホントしつこいね、あんた」
以下略 AAS



115: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:22:17.21 ID:nY0iWbpOO
「だーかーら、一般男性如きに俺は止められないっての。自分の立場わかるよう努力しようよ……ねぇ!」

「ぐっ!」

 倒れ込んだ俺の顔を足で踏みつける。虫を踏み潰したかのように興味なさげに俺を見下すその表情は他人をどこまでも見下した顔だった。
以下略 AAS



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