106: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:04:05.73 ID:nY0iWbpOO
真相を明かされて俺たちは言葉を紡げなかった。一番ショックなのは美穂だろう。自分の、いや自分たちの甘さが悪い未来を生んでしまい……目をそらして幸せなまま過ごすことを選び、彼女にとって大人への一歩への象徴であった18歳になることを切り捨てた。きっと未来の彼女だってそんなつもりはなかっただろう。ありえもしないifを少しだけ、望んでしまっただけ。そしてそれを夢邪鬼によって歪んだ形で再現されてしまった。ネヴァーランドだなんて聞こえはいいけど、ここは後悔に囚われた美穂を閉じ込めた牢獄だった。
「少し待つであります」
「亜季?」
エアガンを装備した亜季が徐に前に出る。銃口は菜々さんの姿をした夢邪鬼の額に向けられていて、いつでも発砲できる状態だった。
「ここにいるアイドルは……入所時期もバラバラであります。悠貴殿や芳乃殿は比較的新しく入った子でありますし、私も入所したのは二人より少し前です」
夢邪鬼が化けた千夜とあきらも、今年になって入ったばかりの子だ。……今年になって?
「にもかかわらず……さっきの映像では美穂殿と悠貴殿が最初から一緒に活動していたではありませんか」
「あっ! 本当ですっ! 私と芳乃さんが入所したのって……あれ?」
そうだ。悠貴と芳乃が入所したのは……。
「5年前だ……」
だとすればおかしい! 17歳の美穂と共演しているなんて! なんで、今まで気付かなかった? まさか、そんな。
「はい。そして私がアイドルになったのは、その1年前であります。だけど不思議なことに、今の今……美穂殿が作った世界の真実が明かされるまで疑問に思っていませんでした。誕生日を迎えても歳をとっていないのは……私たち全員であります!」
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