113: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:18:46.38 ID:nY0iWbpOO
「……いや、そんなこと認めない」
何後ろ向きになっているんだ、俺。約束したじゃないか。最後まで美穂をプロデュースするって。大きく息を吐いて覚悟を決めた俺はスーツを整えてからて立ち上がる。
「プロデューサーさん……どこに行くんですか……?」
「美穂を助けに行く」
「無茶ですよ! そんなことをしたらプロデューサーさんだって……私たちの前からいなくなってしまいます」
卯月の声は必死だった。もう誰もいなくなって欲しくない、と言外に言っているようで。それは俺も同じなんだろう。
「美穂との約束なんだ。あんなやつに美穂の夢はプロデュースさせてやらない。なに、大丈夫だよ。俺は死なないさ」
「どうしてそう言えるんですか?」
「……多分、美穂がそう望んでくれるから、かな?」
夢邪鬼によってプロデュースされた夢と言っても、本来の持ち主は他ならぬ美穂だ。だから美穂が心からこの世界を否定するのなら……全てが終わるはずだ。
「なに、もしダメでも……君たちだけでも返すようにするよ。土下座だってなんだってしてやる」
4人の静止する声を聞かず、俺は車を走らせた。満月の夜、おそらくもう日付は変わっているだろう。だけど俺は眠くなんかない。夢邪鬼からすれば最後の夜を楽しめって言いたいのだろうか。
「ハッピーバースデー」
ここにいない2人の主役にメッセージを送り夢邪鬼のもとに向かう。今までなかった遠くに見える城ーー。そこに2人がいる、そんな気がしていた。
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