112: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:17:15.02 ID:nY0iWbpOO
「……えぐっ、美穂ちゃん」
「卯月……」
当たり前だと思っていた日常すら夢だと明かされたことよりも、目の前で美穂がさらわれたことの方がショックだったようだ。卯月の顔からは笑顔が失われ、親友の名前を呼ぶことしかできなかった。
「こんな時、響子ちゃんがいてくれたら……2人で悲しみを分け合えたんでしょうか」
ずっと一緒にいると信じていたピンクチェックスクール。そりゃあいつかの未来それぞれの道を歩む日が来たかもしれないけど……歪んだ夢の案内人によって2人がいなくなってしまった今、卯月を励ます言葉は思い浮かばなかった。
「みんなも、辛いよな」
残された他のみんなも同じだろう。気のおけない正反対の友達であった加蓮が偽物だった藍子、自分たちの存在が芳乃の動きを止めてしまい取り返しのつかないことになってしまった肇、悠貴。そして俺も、目の前で亜季が消されてしまったことにやり場のない怒りを感じていた。
『みなさんならきっと……悪い夢から醒めることが出来るはず……!』
亜季が最期に残した言葉が重くのしかかる。俺たちに本当にできるのだろうか。相手は夢の世界を自在に操れるプロデューサーときた。対して俺たちはアイドルとプロデューサーという肩書が役に立たない一般人ときた。このまま夢邪鬼が作る曲解された幸せな夢に溺れるしか選択肢はないのか……?
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