114: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:21:16.37 ID:nY0iWbpOO
「夢邪鬼! 美穂を返してもらいに来たぞ!」
誰もいない夜の城はファンタジーさも薄れて却って不気味だ。こつ、こつと俺の足音が響く中、突然周りのライトが点灯した。
「ホントしつこいね、あんた」
「ははっ。自分でも分かってるだろ? 俺に化けているんだから」
「ははっ、違いない」
プロデュースの心得その1。心からシンデレラにしたいと思える女の子が現れたら何度でも何度でもアタックすること。しつこい? 通報された? それがあって初めて一人前だ!
「美穂は無事なんだろうな」
俺の質問に夢邪鬼はやれやれとわざとらしくため息をつく。
「あのね、俺が彼女を傷付けるような真似をするとお思い? 丁重に取り扱って今は眠ってもらってるよ」
夢邪鬼の視線の先は城の頂上だ。その中で大きなベッドの中で眠る美穂を見つけた。
「朝起きれば、世界は変わっている。それまでの辛抱さ。そうさね……次のプロデュースは学園ものでもする? ラブコメもいいし、バトルロワイヤルも悪くない。いや、実はアイドルが化け狸や化け狐でしたってのも面白いな。いっそのこと、最初からアイドルをやり直して人生を描く? それとも、スーパーロボットに乗る? RPGの世界に行く? お空に飛ばす? プロデューサーさんはなにがお好み?」
「お前をぶっ飛ばす!」
「うおっと! 手が早いなあ……学習しようぜ」
勢いよく飛びかかるが馬跳びの要領でかわされてすっ転んでしまう。
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