136:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:57:39.48 ID:1/ZkFkMM0
「で、ですが……!」
無茶なお願いであろうと何とかしてほしい。
いや、しなければならないのだ。
私はアイドルである以前にお嬢様の従者。
137:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:01:33.93 ID:1/ZkFkMM0
――言っている意味がまるで分からない。
この人は、ひょっとして私に喧嘩を売っているのか?
親しくしてくれる人からの決して無視できない一言に、私は身を強張らせた。
138:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:04:25.67 ID:1/ZkFkMM0
「チヨ……アーニャは、日本人です」
?
――え、そこから?
139:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:10:27.66 ID:1/ZkFkMM0
「……確かアーニャさんは、幼少期はロシアで過ごされたと」
「ダー」
彼女が日本語を自在に扱いきれない理由の一つは、それだ。
140:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:15:45.94 ID:1/ZkFkMM0
アーニャさんは、私から視線を外し、手すりを掴んでその先を見つめた。
「一人ぼっち……小樽で運河を、ボーッと眺めていたアーニャに、声を掛けてくれた女の子がいました」
「小樽、ですか……」
「ダー♪」
141:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:19:34.71 ID:1/ZkFkMM0
「それは、何よりです」
「アーニャの、恩人です。
あの子にもらった明るい、優しい心を、アーニャはずっと、大切にしています」
――――。
142:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:21:52.35 ID:1/ZkFkMM0
驚く私を見て、アーニャさんはクスッと笑った。
「スパシーバ、チヨ。
でも、人を疑うより、信じる方が、楽しいですね?」
143:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:25:10.11 ID:1/ZkFkMM0
「お嬢様を、応援……」
アーニャさんは頷いた。
「チヨの言うこと、分かります。
144:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:27:26.68 ID:1/ZkFkMM0
合い鍵を使って部屋に入ると、奥に向かう廊下は真っ暗だった。
電気をつけ、居間へと進むと、お嬢様は座椅子に腰を下ろし、背の低い丸テーブルに顔を埋めて眠っていた。
「お嬢様……」
145:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:29:32.97 ID:1/ZkFkMM0
やはり、綺麗なお顔をされていると、改めて思う。
こんなご無理をなさらずとも、お嬢様は十分美しい。
ふと、アーニャさんの言葉を思い出した。
お嬢様のフェスに向けた努力は、美城常務からの一方的な指示だけでなく、お嬢様ご自身が望んで決めたことであると。
146:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:33:41.43 ID:1/ZkFkMM0
本州の、とりわけ雪とは無縁の地域に住む人がよく誤解をするのは、雪国は空気が乾燥することはないのではないか、ということだ。
雪という水分にあれだけ覆われているのだから、本州と比べれば、空気には湿気があるのではないかと。
しかし、そうではない。
本州の雪と北海道の雪は、大きくその性質が異なる。
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