白雪千夜「足りすぎている」
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137:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:01:33.93 ID:1/ZkFkMM0
 ――言っている意味がまるで分からない。

 この人は、ひょっとして私に喧嘩を売っているのか?

 親しくしてくれる人からの決して無視できない一言に、私は身を強張らせた。
 星空のように綺麗なその瞳を真っ直ぐに見据える私は今、どんな表情になっているだろう。


「チヨ……話をしても、いいですか?」
「話?」


「ちょっとだけ、昔の話……それと、アーニャがアイドルになった理由」


 以前、聞いたような気がしたが、ふと思った。

 そうだ。
 あの時は確か、アーニャさんがレッスンを頑張る理由について聞いただけだ。
 出来なかったことが出来るようになれば、ご両親が褒めてくれると――確か、そういう話だった。

「チヨに聞かれて、アーニャは、ちゃんと答えていませんね?」

 ――まただ。
 この人は度々、寂しそうな、何かを我慢するような笑顔をこうして私に向ける。

「……お願いします」

 そう言うと、彼女は「ダー」と頷き、胸に手を当てた。



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