138:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:04:25.67 ID:1/ZkFkMM0
「チヨ……アーニャは、日本人です」
?
――え、そこから?
「……知っています」
「フフッ、そうですね。
アーニャは、北海道で生まれました。
日本で生まれたアーニャは、日本人です。でも……」
胸に当てた手をスゥッと下げて、アーニャさんは俯いた。
「ロシア人のパパと、日本人のママ……アーニャに会う人は、みんな、外国の人だと思います。
それは、仕方がないです。
アーニャは言葉、上手くありません。見た目も、日本人らしく、ないですね」
「過去に何かご苦労が、あったのですか?」
「ンー……」
アーニャさんは、首を傾げながら、ちょっと困ったような顔をして虚空を見上げた。
その姿を見て、ふと気づいた。
日本語が下手だからではない。
優しい彼女は、聞く相手が不快にならないような言葉を、とても丁寧に探している。
「そうですね……とても、大変でした。
初めましての人と、うまく話せなくて……悲しくて、寂しかった」
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