139:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:10:27.66 ID:1/ZkFkMM0
「……確かアーニャさんは、幼少期はロシアで過ごされたと」
「ダー」
彼女が日本語を自在に扱いきれない理由の一つは、それだ。
「生まれて、小さい時にすぐ、ロシアに行きました。
ロシアの時は、パパのロシア語と……ママの日本語も、教えてもらいました。
でも……10歳のアーニャが、北海道に戻った時、どちらも上手では、ありません。
日本語も、ロシア語も……ヘンな言葉しか、使えなくて、皆、アーニャを避けましたね。
怖い子、冷たい子……皆、そう言いました」
「アーニャさん……」
豊かな愛に育まれた、元来心の温かな人だと思っていた。
彼女にも背負ってきた過去があり、辛い経験を乗り越えて今の優しさがあるということか。
つまり、どこかで転換期があったはずだった。
暗い過去を払拭し、明るい感情を持てるきっかけとなった出来事が。
私の心情を察するかのように、アーニャさんは私の目を見つめ、フッと笑った。
少し、表情が明るくなった気がした。
「チヨ……たぶん、アーニャに何があったのか、知りたいですね?」
「えぇ、その通りです」
「とても、優しい人に出会いました」
301Res/285.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20