141:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:19:34.71 ID:1/ZkFkMM0
「それは、何よりです」
「アーニャの、恩人です。
あの子にもらった明るい、優しい心を、アーニャはずっと、大切にしています」
――――。
実に良い話だ。だが――。
なぜか先ほどから、素直にアーニャさんの話に傾聴しきることができない自分がいる。
胸がざわつく――。
「それで、その……たとえば、アーニャさんのその……」
「はい」
「その子に元気づけてもらった、その経験を、誰かにも与えたいという想いから、アーニャさんはアイドルを……?」
「ンー……それも、無いことは、無いですね。
でも、きっかけはちょっと、違います。アーニャも、スカウトでした」
眉根を寄せて、悩ましそうに苦笑している。
「アイドルが何をするのか、分かりません。でも、プロデューサー、とても熱心でした。
ストラースチ……情熱、ですね。この人の情熱、どこに向かうのか、とても興味ありました。
大好きになれた、北海道の街……離れたとしても、私の知らない世界、見たいです」
騙されている、乗せられているとは、考えなかったのか――そう聞こうとしたが、飲み込んだ。
彼女はきっと、人を疑うことを知らない。
それは、すごく危ないことなのに。
「ンー……チヨはアーニャを、心配してくれています」
「えっ?」
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