白雪千夜「足りすぎている」
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143:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:25:10.11 ID:1/ZkFkMM0
「お嬢様を、応援……」

 アーニャさんは頷いた。

「チヨの言うこと、分かります。
 アーニャもチトセは、とても心配です。倒れちゃうの、怖いですね。
 でも、アーニャ達が止めたら、チトセは、傷つくと思います。
 心に傷を……ずっと治らない、深い傷を」


「アーニャさん……」

 彼女は、冗談を言うような人ではない。
 とても真面目で、素直で、純情で、心根の優しい人。

 なのに――。


「何で、そんなことを言うんですか……」


 なぜそんな、訳の分からないことを言って、私の心をかき乱すのか。
 悲しそうな表情をして言うくらいなら、なぜそれをわざわざ呼び出して私に伝えるのか。

 胸の中で渦巻く、怒りとも悲しみともつかない暗く重たい感情に煩悶していると、携帯が鳴った。
 凛さんからのメールだった。

 美城常務とのミーティングに、お嬢様が姿を見せていなかったとのこと。
 部屋にいるはずのお嬢様と、連絡がつかないらしい。



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