白雪千夜「足りすぎている」
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126:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:22:39.65 ID:1/ZkFkMM0
「君は?」
 私の存在に気づいた常務が、顔をこちらに向けた。

「白雪千夜と申します。シンデレラプロジェクトに所属しています」
「名前は知っている。なぜ君がここに来ている」
以下略 AAS



127:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:26:54.75 ID:1/ZkFkMM0
「……どういうことですか?」

 話の趣旨がつかめないでいると、何がおかしいのか、猫のような笑い声を上げながら一ノ瀬さんが部屋の中央に躍り出た。

「犬が飼い主側をランク付けしていることがよく話題になるように、動物っていうのは何かにつけて順位を付けなきゃ気が済まないんだって。
以下略 AAS



128:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:30:09.85 ID:1/ZkFkMM0
「……申し訳ございません。不勉強で」
「うっそ、オーバーランク知らん?
 ははぁ〜、あたしも自慢できたもんじゃないけど、千夜ちゃんも存外マイペースだねー。まぁいいや」

 ケラケラと愛想良く笑って、塩見さんは続ける。
以下略 AAS



129:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:32:13.59 ID:1/ZkFkMM0
「そう、だから」

 城ヶ崎美嘉さんが、言葉を継いだ。

「アタシ達も、本当はちとせさんが無茶をするのは、黙って見てられないの。
以下略 AAS



130:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:34:47.02 ID:1/ZkFkMM0
 何が労働環境の改善だ。

 確かに常務は「無茶をするな」と言うだろう。
 だが、無茶をしなければ到達できないレベルを要求されていたのでは、使われる側のやるべき事は変わらない。
 その結果、仮にその者が潰れたとしたら、経営者は「それを命じた覚えは無い」「勝手にやったことだ」と言い逃れる寸法だ。
以下略 AAS



131:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:42:44.44 ID:1/ZkFkMM0
「チヨちゃん、ギューン☆」
「うひゃあ!?」

 急に抱きつかれ、後ろを振り返ると、宮本さんだった。
 いつの間に背後に回ったのか、この人は。
以下略 AAS



132:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:44:50.19 ID:1/ZkFkMM0
 宮本さんといい、速水さんといい、強い個性にあてられて目眩をしそうな所にコレだ。
 理解できないものへの思考はシャットアウトしたいのに、目の前の彼女はお構いなしに私の視線を釘付けにする。

「取り繕わないハダカの部分に訴えかけて初めて人の心は動かせる。
 曝け出そう、解放しちゃおう。内なる本能を認識して初めてあたし達は生を得るんだよ。
以下略 AAS



133:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:47:56.15 ID:1/ZkFkMM0
「……トレーナーは、チヨのこと、心配していました」

 寮の屋上の手すりにもたれながら、アーニャさんはボンヤリと俯いていた。

 生憎の天気であり、夜空を見上げても薄曇りを通して月明かりが辛うじて確認できる程度だ。
以下略 AAS



134:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:50:15.77 ID:1/ZkFkMM0
「そうですか」
「イズヴィニーチェ……ごめんなさい」
「何を謝ることが?」

 私はアーニャさんの隣に歩み寄り、手すりに手を置いた。
以下略 AAS



135:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:55:41.74 ID:1/ZkFkMM0
「……イズヴィニーチェ、チヨ」

 アーニャさんは、小さく首を振った。

「それはたぶん、アーニャには、難しいですね」
以下略 AAS



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