129:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:32:13.59 ID:1/ZkFkMM0
「そう、だから」
城ヶ崎美嘉さんが、言葉を継いだ。
「アタシ達も、本当はちとせさんが無茶をするのは、黙って見てられないの。
でも、ファンの人達の事を考えたら、次のフェスがすごく重要なイベントになる、絶対成功させなきゃって思うと、どうしてもダメって言えなくて……
常務には、アタシにやらせてとも言ったんだけど、でも」
「城ヶ崎美嘉、君には既にイメージがある。
余所の曲を軽率に歌って、君が培ってきたものを失わせることは得策ではない」
常務は、部屋にいる私以外の全員を見渡した。
「君達を始め、プロジェクトクローネには私が見出したそれぞれの役割、持ち味がある。
そこに優劣はない。一ノ瀬志希がふざけたことを言おうとも、それは各自認識してほしい」
「ふざけたってヒドーい」
「……なるほど、よく分かりました」
頭の中はひどく静かだ。
でも、腹の底は久しく感じていなかった怒りがこみ上げてくる。
「経営者の立場として、そういう建前をとることを良しとしたあなたの考えが」
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