白雪千夜「足りすぎている」
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130:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:34:47.02 ID:1/ZkFkMM0
 何が労働環境の改善だ。

 確かに常務は「無茶をするな」と言うだろう。
 だが、無茶をしなければ到達できないレベルを要求されていたのでは、使われる側のやるべき事は変わらない。
 その結果、仮にその者が潰れたとしたら、経営者は「それを命じた覚えは無い」「勝手にやったことだ」と言い逃れる寸法だ。
以下略 AAS



131:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:42:44.44 ID:1/ZkFkMM0
「チヨちゃん、ギューン☆」
「うひゃあ!?」

 急に抱きつかれ、後ろを振り返ると、宮本さんだった。
 いつの間に背後に回ったのか、この人は。
以下略 AAS



132:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:44:50.19 ID:1/ZkFkMM0
 宮本さんといい、速水さんといい、強い個性にあてられて目眩をしそうな所にコレだ。
 理解できないものへの思考はシャットアウトしたいのに、目の前の彼女はお構いなしに私の視線を釘付けにする。

「取り繕わないハダカの部分に訴えかけて初めて人の心は動かせる。
 曝け出そう、解放しちゃおう。内なる本能を認識して初めてあたし達は生を得るんだよ。
以下略 AAS



133:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:47:56.15 ID:1/ZkFkMM0
「……トレーナーは、チヨのこと、心配していました」

 寮の屋上の手すりにもたれながら、アーニャさんはボンヤリと俯いていた。

 生憎の天気であり、夜空を見上げても薄曇りを通して月明かりが辛うじて確認できる程度だ。
以下略 AAS



134:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:50:15.77 ID:1/ZkFkMM0
「そうですか」
「イズヴィニーチェ……ごめんなさい」
「何を謝ることが?」

 私はアーニャさんの隣に歩み寄り、手すりに手を置いた。
以下略 AAS



135:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:55:41.74 ID:1/ZkFkMM0
「……イズヴィニーチェ、チヨ」

 アーニャさんは、小さく首を振った。

「それはたぶん、アーニャには、難しいですね」
以下略 AAS



136:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:57:39.48 ID:1/ZkFkMM0
「で、ですが……!」

 無茶なお願いであろうと何とかしてほしい。
 いや、しなければならないのだ。
 私はアイドルである以前にお嬢様の従者。
以下略 AAS



137:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:01:33.93 ID:1/ZkFkMM0
 ――言っている意味がまるで分からない。

 この人は、ひょっとして私に喧嘩を売っているのか?

 親しくしてくれる人からの決して無視できない一言に、私は身を強張らせた。
以下略 AAS



138:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:04:25.67 ID:1/ZkFkMM0
「チヨ……アーニャは、日本人です」

 ?
 ――え、そこから?

以下略 AAS



139:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:10:27.66 ID:1/ZkFkMM0
「……確かアーニャさんは、幼少期はロシアで過ごされたと」
「ダー」

 彼女が日本語を自在に扱いきれない理由の一つは、それだ。

以下略 AAS



140:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 15:15:45.94 ID:1/ZkFkMM0
 アーニャさんは、私から視線を外し、手すりを掴んでその先を見つめた。
「一人ぼっち……小樽で運河を、ボーッと眺めていたアーニャに、声を掛けてくれた女の子がいました」

「小樽、ですか……」
「ダー♪」
以下略 AAS



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