白雪千夜「足りすぎている」
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132:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:44:50.19 ID:1/ZkFkMM0
 宮本さんといい、速水さんといい、強い個性にあてられて目眩をしそうな所にコレだ。
 理解できないものへの思考はシャットアウトしたいのに、目の前の彼女はお構いなしに私の視線を釘付けにする。

「取り繕わないハダカの部分に訴えかけて初めて人の心は動かせる。
 曝け出そう、解放しちゃおう。内なる本能を認識して初めてあたし達は生を得るんだよ。
 建前だけで乗り切れるほど簡単じゃなくない? アイドルって。だからあたしはここにいるの」

 ――本当の部分?

 まるで私がウソを言っているかのような言い草に、少し胸がざわつく。


「もういい、そこまでだ」

 常務が手を叩いた。

「黒埼ちとせ、君はスタッフの言うことをよく聞いて、着実な快復に努めなさい。
 他の皆も、予定されたレッスンメニューを消化していないままだろう。しっかり整理体操をしておくこと。
 いいか、くれぐれも無茶なことはするな。これは命令だ」


「要求レベルを下げる気はないようね」

 速水さんがポツリと言った皮肉に、常務は何も言葉を返さず、部屋を後にしていった。



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