白雪千夜「足りすぎている」
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133:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:47:56.15 ID:1/ZkFkMM0
「……トレーナーは、チヨのこと、心配していました」

 寮の屋上の手すりにもたれながら、アーニャさんはボンヤリと俯いていた。

 生憎の天気であり、夜空を見上げても薄曇りを通して月明かりが辛うじて確認できる程度だ。
 通り抜ける風も冷たく乾いており、秋の終わりをいよいよ近く感じさせる。

 たとえ星が見えなくとも天体観測をしたいと、今夜彼女が言ったのは、私と話をしたかったからだという。
 それは私も同じだった。

「私のことなど、どうでもいいです。それより」

 私はアーニャさんの背を見つめる。
 少し肌寒いせいか、いつもよりも少し小さく見える気がする。

「アーニャさんは、プロジェクトクローネに参加するのですか?」


 少し間を置いて、彼女の頭がほんの少しだけ、縦に揺れた。

「リンも、やるって、言ってました」



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