白雪千夜「足りすぎている」
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127:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 14:26:54.75 ID:1/ZkFkMM0
「……どういうことですか?」

 話の趣旨がつかめないでいると、何がおかしいのか、猫のような笑い声を上げながら一ノ瀬さんが部屋の中央に躍り出た。

「犬が飼い主側をランク付けしていることがよく話題になるように、動物っていうのは何かにつけて順位を付けなきゃ気が済まないんだって。
 そうすることで初めて群れの中での従属の関係性とか自分の分、つまり立ち位置や実在性を確認することができるんだよね。存在の証明ともゆー。
 人間社会で言えば、親は子供を、先生は生徒を、上司は部下を、あるいはそれぞれその逆を……芸能界、取り分けアイドルの世界はひょっとしてその最たる例なんじゃないかにゃ?
 常務の立場としてはそりゃあ万物平等公平無私を唱えるほかは無いかも知れないけど、どこかでホンネの部分を曝け出さない限り、ヒトたるべきアイドルはヒトならざるキミらの人形でしかなり得ないと思うなー」

「えぇー、シキちゃんお人形になっちゃうの?」
「にゃははー全身フル稼働1/1サイズだよー♪」
「やったー☆ 由緒ある魔法の宮本水で育てなきゃー!」
「人形の概念壊すのやめて……」


「あ、えーとね千夜ちゃん、一応あたしの方から説明すると」

 一ノ瀬さんと宮本さんが好き勝手にはしゃいでいるのを無視して、塩見さんが私に声を掛けた。
 あしらい方に慣れている辺り、こういうやり取りは日常茶飯事らしい。

「961プロの、玲音さんっていうアイドルいるでしょ?」



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