25:名無しNIPPER[saga]
2019/08/15(木) 23:46:46.13 ID:whXTmqj1O
「そう、その尾関」
「何で? ていうか、え、お前らは何、どういうこと、何なの」
いきなり落ち着きのなくなった佐々部に、訳が分からなくなった俺たち二人は、三人そろって瑞穂に視線を送った。
26:名無しNIPPER[saga]
2019/08/15(木) 23:59:39.15 ID:whXTmqj1O
「つまり、幽霊探し中にカズが観光目当ての瑞穂ちゃんを見つけたと。で、お前んちに泊まっている?」
やけに説明調で、どうにか平静を取り戻した佐々部が言葉にした。
「そういうこと」
27:名無しNIPPER[saga]
2019/08/16(金) 00:14:15.25 ID:doqPoyp4O
ただ、芸能人だというのであれば、彼女の美貌も何となく納得がいく。少なくとも、島外でもこの美しさが平均的なものであるということではないらしい。
「何だよ、幽霊なんかよりよっぽど楽しい思いしやがって」
拗ねたようにぼやく佐々部に、水原が「あんたのとこにも紹介しに来てあげたでしょ」とあやすように話しかけていた。まるで母親みたいだ。
28:名無しNIPPER[saga]
2019/08/16(金) 02:15:01.52 ID:doqPoyp4O
なるほど、と感心する二人を横目に、改めて疑問が浮かんできた。
瑞穂は母さんに言われるまで祭の存在を知らなかったはずだ。なのに、それを目当てとは一体。
頭に浮かんだそれは口にせずにしまっておいた。
29:名無しNIPPER[saga]
2019/08/16(金) 03:11:25.72 ID:doqPoyp4O
「いつまでも尾関さん、じゃ何だし。瑞穂で良いよ」
横から覗き込むように瑞穂が言った。
「えーと、うん、わかった」
30:名無しNIPPER[saga]
2019/08/17(土) 07:58:27.67 ID:fvsgqT2JO
家に帰ると昨日と同じく食事の準備ができていて、瑞穂はすっかり我が家の一員になったかのように過ごした。
まるでそうであったことが生まれたときからそうであったように、瑞穂は違和感なく我が家の一員になっていた。
「お父さんも戻ってきたら驚くだろうねぇ」
31:名無しNIPPER
2019/08/17(土) 08:32:30.75 ID:fvsgqT2JO
まだあまり、考えたことはなかった。
実家か漁師の佐々部のように、継ぐような家業は特にない。一方で、水原のように島外の大学に憧れを持ってもいない。
「うーん、まだ未定かな」
32:名無しNIPPER
2019/08/18(日) 00:33:09.93 ID:dFRsY6OS0
?昨日と同じく瑞穂におやすみと声をかけて自室に戻ると、今晩は机に向かうことにした。?
?寝坊したうえに、一日佐々部と水原に捕まってたせいで宿題に手をつけていなかったからだ。自分の性格上、一日でもサボってしまうとそれが癖になってしまうことは自分で分かっていた。?
?数学の教科書を開いて、二次関数がなんだ数列がなんだと羅列された文字と数字を追いかけていく。?
33:名無しNIPPER[saga]
2019/08/18(日) 10:45:03.45 ID:kTZG2sIxO
そんなことを考え始めると、今度は課題のことが頭に入らなくなってきた。ダメだな、今すべきは将来を悩むより目前の数学のはずなのに。分かってはいても、漠然とした悩みを優先してしまう。
プリントの上にペンを放り、天井を向いてため息をついた。
そのまま思考をリセットするためにぼーっと天井を眺めていると、ドアをノックする音がした。
34:名無しNIPPER
2019/08/18(日) 13:11:14.44 ID:kTZG2sIxO
自分が好きと言われたわけではないけれど、その言葉には少しドキッとしてしまう。
「そっか。それなら良かった」
「カズくんは? 好きじゃないの?」
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