15:名無しNIPPER[saga]
2019/08/14(水) 22:10:51.74 ID:3RPf7FsGO
そんな彼女に気を取られていたせいか、予定していたページの7割程度しか進むことは無かった。決してこれは言い訳ではない。仕方ないことだ。緊張するって、そりゃ。
宿題を片付けて、昨晩の残り物で昼ごはんを済ませると、いよいよ出発することになった。出る間際になってちょっと待ってと言われ、何事かと思うと、これでもかと言うほど隈なく日焼け止めを塗り始めた。そして、島では滅多に見ることの無い日傘を構えた。
とは言え、それで暑さを凌げるわけではない。
16:名無しNIPPER[saga]
2019/08/14(水) 22:11:48.12 ID:3RPf7FsGO
二階からばたばた音がして、階段を下りてきた水原は学校とは少し様子が違った。校則違反のメイクを軽くして、服もどこかにお出かけするかのような小奇麗なワンピース姿だった。
「昨日は幽霊出なかったぞ」
「そ、そっか。ところで、えーっと、後ろの人は?」
17:名無しNIPPER[saga]
2019/08/14(水) 22:13:20.97 ID:3RPf7FsGO
島を一周する頃には、瑞穂も水沢もすっかり仲良しになっていた。恐るべし、女子のコミュ力。
どうやら、明日は水沢がうちに遊びに来る約束までしてしまったらしい。帰り際に、明日は寝坊しないようにねと注意されてしまった。
「仲良くなるの早くない?」
18:名無しNIPPER[saga]
2019/08/14(水) 22:14:16.53 ID:3RPf7FsGO
三人で声と手を合わせた。今日はよく歩いたし、お腹が空いている。美味しい、美味しいと箸が止まることなくどんどん皿の上の料理が消化されていって、気がつけば山もりだった皿が空になっていた。
母さんはその様子、を嬉しそうに眺め、時折「美味しい?」「今日は何をしたの?」と問いかけていた。
「娘ができたみたいで嬉しいわぁ」
19:名無しNIPPER[saga]
2019/08/14(水) 22:23:43.81 ID:3RPf7FsGO
食事を終えると瑞穂、母さん、俺の順番で風呂に入った。
浴槽に張ったお湯を抜いて、軽く掃除をしてから寝支度を済ませ、自室に向かうと今日も瑞穂はまだ起きているようだった。
「おやすみ」
20:名無しNIPPER[saga]
2019/08/14(水) 22:30:04.87 ID:3RPf7FsGO
夜の港に瑞穂が立っていた。
「私は幽霊なの。カズくんを海の底に導く幽霊」
そう言って微笑んだ。今までに見た、子どもっぽい笑顔とは違う、暗い笑みだった。
21:名無しNIPPER[saga]
2019/08/14(水) 22:31:19.50 ID:3RPf7FsGO
エラー起きまくってスレ3つも立ててしまってました……すみません。
このスレを更新していきます。
22:名無しNIPPER[saga]
2019/08/14(水) 23:20:33.13 ID:YmYytpA6O
「カズくん! 起きろ〜!」
目の前には、水原の顔がアップで映り込んでいた。昨日といい今日といい、聞きなれない声で目覚めるものだ。
水原の後ろには瑞穂が立っていて、彼女は今日もしっかりとよそ行きの格好になっていた。
23:名無しNIPPER[saga]
2019/08/15(木) 22:09:20.22 ID:whXTmqj1O
そんなことはない、と二人の声が重なって、愉快そうに瑞穂はもう一度声を出して笑った。その笑顔からは、とても昨日の夢で見たようなことをしでかすようには思えなかった。
朝ご飯を食べ終えて、水原に急かされて家の外に出た。
「で、今日はどうすんの」
24:名無しNIPPER[saga]
2019/08/15(木) 22:27:06.62 ID:whXTmqj1O
「佐々部ぇー、いるー?」
「あー……水原ぁ?」
だらけた返事が家の中から聞こえてきた。夏休み二日目にして自堕落な生活を過ごしているのは俺だけじゃないらしい。
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