いつかの月が君に微笑む
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20:名無しNIPPER[saga]
2019/08/14(水) 22:30:04.87 ID:3RPf7FsGO
夜の港に瑞穂が立っていた。

「私は幽霊なの。カズくんを海の底に導く幽霊」

そう言って微笑んだ。今までに見た、子どもっぽい笑顔とは違う、暗い笑みだった。

風が吹いて、その生ぬるさを感じることがなく、これが夢だということに何となく気が付いた。

「それでもカズくんは、私と一緒にいてくれる?」

こんな夢を見るのは、彼女が身投げしに来たと口にしたせいだろうか。実際、とてもそうとは思えないんだけど。

何と言って良いか分からなくて黙っていると、彼女はもう一度微笑んだ。

「うん、カズくんはそれで良い。そのまま、幸せで良い」

その言葉を残して、彼女は俺に背を向け、そして――。


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