いつかの月が君に微笑む
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15:名無しNIPPER[saga]
2019/08/14(水) 22:10:51.74 ID:3RPf7FsGO
そんな彼女に気を取られていたせいか、予定していたページの7割程度しか進むことは無かった。決してこれは言い訳ではない。仕方ないことだ。緊張するって、そりゃ。

宿題を片付けて、昨晩の残り物で昼ごはんを済ませると、いよいよ出発することになった。出る間際になってちょっと待ってと言われ、何事かと思うと、これでもかと言うほど隈なく日焼け止めを塗り始めた。そして、島では滅多に見ることの無い日傘を構えた。

とは言え、それで暑さを凌げるわけではない。

「暑い……」

蝉の声と合わせて何度もその言葉を呟きながらも、まずは今日の幽霊当番(謎な言葉だ)である水原の家に向かった。

道中、島のじいちゃんばあちゃん達が物珍しそうに俺たちのことを見ては、「カズ坊、悪さしちゃいかんよ」「美人に騙されるなよ」と声をかけてきた。

「悪意があるわけじゃないんだけど」

騙される、という言葉の響きが何だか嫌で、軽くフォローを入れてみる。

「ううん、むしろ、こういう感じが島だなって感じで楽しい」

俺からすると普通のことでも、彼女からすると珍しいことらしい。特に気を悪くする様子もないまま、たまに話しかけられては進みを繰り返し、水原の家に到着した。

島にはインターホンを鳴らすという文化は無い。鍵もかかっていない家の扉を開けて、彼女の名前を呼んだ。

「水原ぁ、来たぞー。いるかー?」

「はいはーい」


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