28:名無しNIPPER[saga]
2019/08/16(金) 02:15:01.52 ID:doqPoyp4O
なるほど、と感心する二人を横目に、改めて疑問が浮かんできた。
瑞穂は母さんに言われるまで祭の存在を知らなかったはずだ。なのに、それを目当てとは一体。
頭に浮かんだそれは口にせずにしまっておいた。
「だから、佐々部くんもあんまり私が芸能人だって言わないでくれたら助かるな」
瑞穂にお願いされて、さすがの佐々部も頷いたようだ。
結局、その後も佐々部は瑞穂に興味津々で、夕方まで四人で延々と話してしまった。
「お祭までは島にいるんでしょ? また遊びに来てよ」
徐々に慣れてきたらしく、別れ際にはそんなナンパ文句まで言えるようにはなっていた。
「あーあ、もっと他の子たちも会わせてあげようと思ってたのに」
「うーん、でも、あんまり知り合いになると別れが惜しくなっちゃうから」
そう言って、やんわりと今後の紹介を瑞穂は断った。
水原を家まで送り届けると、「今度は釣りしようね」と声をかけてから家の中に入っていった。島での生活を教えようとしているらしい。
「ごめんな、やかましいやつばかりで」
「ううん、こんな風にフランクに話せる友達、あっちにはいなかったから」
あっち、という言葉には島外の場所、自分のいるべき場所というニュアンスを感じて、やっぱり彼女は遠い人なんだなぁと改めて感じた。
「それに、カズくんもやっと自然とタメ口使ってくれるようになったしね」
言われてみれば、と思うと少し恥ずかしいような、こそばゆいような、不思議な気持ちになった。
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