31:名無しNIPPER
2019/08/17(土) 08:32:30.75 ID:fvsgqT2JO
まだあまり、考えたことはなかった。
実家か漁師の佐々部のように、継ぐような家業は特にない。一方で、水原のように島外の大学に憧れを持ってもいない。
「うーん、まだ未定かな」
「瑞穂ちゃん、時間があるときで良いから、この子に外の話を聞かせてあげて」
母さんは俺に、島の外に出て行ってほしいらしい。島内の仕事は限られているし、これからもきっと人口は減る一方だ。若い人は残るべきじゃないと、島の大人は口々に言う。
何より、母さん自身が外の世界に出る勇気が無かったからこそ、息子の俺にはそれを見て欲しいらしい。
曖昧に微笑んだ瑞穂を見て、「気が向いたら俺から聞くよ」と告げたところで、この話は終わりを迎えた。
昼間のことといい、もしかしたら瑞穂は向こうでのことはあまり聞かれたくないのかもしれない。考え過ぎならいいけれど。
結局、その後も母さんと瑞穂は延々と話し続けそうだったから、俺は早めに切り上げて自室へ上がった。
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