いつかの月が君に微笑む
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33:名無しNIPPER[saga]
2019/08/18(日) 10:45:03.45 ID:kTZG2sIxO
そんなことを考え始めると、今度は課題のことが頭に入らなくなってきた。ダメだな、今すべきは将来を悩むより目前の数学のはずなのに。分かってはいても、漠然とした悩みを優先してしまう。

プリントの上にペンを放り、天井を向いてため息をついた。

そのまま思考をリセットするためにぼーっと天井を眺めていると、ドアをノックする音がした。

「カズくん、起きてる?」

声を掛けられずとも、それが瑞穂ということは分かった。母さんならノックをするなんて繊細なことはしないだろう。

「ああ、うん」

どうしたんだろう。毎晩夜更かしなのは何となく分かっていたけれど、こうやって部屋に来たのは初めてで戸惑うし、少し緊張もする。

よくよく考えると、この部屋にあがったことがある女性っていうのも、家族を除けば水原がたまに乗り込んでくるくらいだ。

「ごめんね、遅くに。……勉強してた?」

「いや、さっぱり分からなくて諦めてたところ。どうしたの?」

「何だか眠れなくて」

話し相手になって欲しい、ということらしい。瑞穂はベッドの縁に腰掛けて、学習机の椅子に座る俺と向き合った。

「好い島だよね、岸辺島」

「そうかな?」

「うん、私は好きだよ」


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