いつかの月が君に微笑む
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26:名無しNIPPER[saga]
2019/08/15(木) 23:59:39.15 ID:whXTmqj1O
「つまり、幽霊探し中にカズが観光目当ての瑞穂ちゃんを見つけたと。で、お前んちに泊まっている?」

やけに説明調で、どうにか平静を取り戻した佐々部が言葉にした。

「そういうこと」

「てめぇこの野郎バカ野郎」

ずるいずるいとわめく佐々部が俺にモンゴリアンチョップをかましてきた。ずるいも何もない。当の瑞穂は少し慌てた様子で「やめてやめて」と佐々部の腕を抑え、それに緊張した佐々部は顔を赤くして硬直した。

「ほら、瑞穂ちゃん困ってるよ、佐々部。やめなよ」

「ご、ごめん、瑞穂ちゃん」

「おいこら俺にも謝れ」

それは嫌だ、役得野郎めと佐々部が口にしたので、もう相手にしないことを決め込んだ。

「で、尾関さんは……えーと、この尾関さんなんだ?」

佐々部が持ってきた漫画雑誌を指さすと、彼女はこくりと頷いた。

「ていうかお前ら、知らないのかよ。オゼちゃんって、今かなり有名だぞ」

「この島で知ってるのはお前くらいだろうよ」

民法放送もなく、ネット回線もないこの島で芸能人のことなんて知る機会は滅多にない。佐々部みたいに定期船で送られてくる雑誌を買ったり、島外に出た時にテレビを見たりしなければ、日常生活ではまず知り得ないことだ。



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